動機付け
第二言語習得研究の記憶システムと効果的な英語学習のやり方
当記事はビジネス英語スピーキング教材「パタプライングリッシュ」を利用することで、なぜスピーキング力を身につけることができるのか、科学的根拠を示しながら解説します。
私たちは母語(第一言語)を確実に習得できます。一方、第二言語の習得となると大きな個人差が見られます。
この個人差は、知力、言語適性、年齢、学習スタイル、性格、動機付け、学習法など多くの要因に起因しています。今回は「動機付け」に注目して解説します。
動機付けとは
動機付け研究の先駆者であるGardner教授とLambert教授は、動機は「統合的動機」と「道具的動機」の2つに分けられるとしました。
統合的動機と道具的動機
統合的動機とは、目標言語話者の文化や言葉を理解し、その文化に親しむことを目的に言語を学ぶことです。長期間にわたって学習意欲を維持するのに効力があるとされています。
「旅行先で現地の人とコミュニケーションを楽しみたい」「海外の映画を字幕なしで鑑賞したい」などの動機は統合的動機と言えます。
一方、道具的動機とは「より良い仕事や待遇を得たい」「良い学校に入りたい」など具体的な実利的目標を実現するために言語を学ぶことです。
内発的動機と外発的動機
アメリカの心理学者Deci教授とRyan教授が唱えた「自己決定理論」では、学習者の自律性に基づいて「内発的動機」と「外発的動機」の2つに動機を分類しています。
内発的動機とは「関心があるから勉強する」「面白いからやる」など、学習そのものを報酬とします。行為それ自体が目的であり、英語学習なら「純粋に英語を学びたいから学ぶ」状態を指します。
外発的動機付けは行為それ自体ではなく、報酬や称賛などを目的とします。「試験で良い成績を取りたいから勉強する」「昇進のために英語を勉強する」などの状態を指します。
これら動機は流動的であり、無動機状態から始まり、外発的動機、内発的動機へと移行していきます。
動機付けが重要な理由
英語(第二言語)学習に影響を与える要因のうち、年齢、性格などは各自の努力で変えられるものではありません。しかし、動機付けを理解し、うまく設定できれば学習効果を高めることが期待できます。
特にビジネスパーソンは、多忙な日常から学習時間を捻出しなければなりません。明確な動機付けの設定は、やる気を維持するための重要な要因となります。
動機付けのやり方
それではどのように動機付けを行えばいいのでしょう。
2000年代に入ってから学習者の自己に注目した動機研究が増えてきます。心理言語学者のDörnyei教授は、目標言語を使用できる自身を想像し、そこに到達することを動機として設定することが言語習得において有効であると述べています。
例えば、キャリアアップを目的に英語を学習する場合、"英語を使いこなしキャリアアップを果たした自分" がどのように働いているかを思い描きます。
多国籍な同僚たちとランチをする際、英語で話題のレストランの話をすることもあるでしょう。各国の興味深い話を肴にバーでリラックスした一時を楽しむこともあるでしょう。
理想の自己像を "具体的に" 思い描くことが、学習効果の向上に作用することは、すでに多くの研究で明らかになっています。
Dörnyei教授は、動機とは固定したものではなく、その時の環境や気分、動機が語られる文脈などによって変化するものだとしています。
理想の自己像をもとに長期的で明確なビジョンを持つことは、動機を維持するために重要です。
最後に
多くのビジネスパーソンは、仕事で英語が必要になってから本格的な学習を始めます。
昇進のためにTOEICの点数が必要、海外駐在のために英語が必要、グローバルミーティングに参加する上で英語が必要、など目的や緊急度合いも様々です。
多忙なビジネスパーソンにとって英語学習は、「いかに無駄なく」「効率的に行うか」が重要です。英語学習サービスを選ぶ際にも、自分の目的とマッチしているかを考えて選ぶようにしましょう。
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参考文献
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監修:松尾 光治
元大手英会話スクールの教務主任、教材開発。在米35年、現在もニューヨーク在住。早稲田大学第一文学部中退、英検1級、TOEIC985点。英会話の講師とニューヨークでの日系商社での勤務経験から、日本人ビジネスパーソンを対象にした実用的な英語教材を開発。
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