外国語副作用 - 第二言語習得研究の記憶システムと効果的な英語学習のやり方

外国語副作用 - 第二言語習得研究の記憶システムと効果的な英語学習のやり方

英語学習において、記憶システムの仕組みを意識して活用したことはありますか?記憶の特性を理解して活かすことは、学習に役立ちます。

なぜなら「学習することは記憶することである」と言っても過言ではないからです。

文法規則や単語の意味を理解し、暗記することは大切ですが、ただ闇雲に取り組んでいても、英語を使いこなす能力はなかなか身につきません。

それぞれの学習方法がどのような種類の記憶に支えられているものなのか、その学習はどのような役割を持つのか、これらを理解して意識的に学習に取り組むことは、英語を「使える技能」として習得するための近道につながります。

パタプライングリッシュでは、人の脳内で言語活動がどのように行われているのかを研究する「第二言語習得研究 (SLA: Second Language Acquisition)」から、効率的な英語学習のやり方について解説します。

このエントリーをはてなブックマークに追加

今回は「外国語副作用」と呼ばれる現象と人間の記憶システムについてご紹介します。

外国語副作用(Foreign language side effect)とは

母語ほどには習熟していない外国語を使っている最中に、一時的に生じる思考力の低下のことです。外国語を使っていないときには思考力の低下は生じないので、外国語を学ぶとその後遺症で頭が悪くなってしまうという現象ではありません。

外国語副作用が起こる仕組み

言語活動は、「言語処理」と「思考」という2つの認知的作業を並行して進める活動です。したがって、「言語処理」と「思考」は互いに干渉する可能性があります。

しかし、慣れない外国語を話すときは言語処理をおろそかにすると会話が成り立たなくなるため、思考よりも言語処理を優先せざるを得ません。これによって人が使用できる処理資源を言語処理に取られてしまう為に、本人や周囲に思考レベルが低下したように感じられることです。

外国語副作用と記憶の仕組みとの関わり(思考と言語処理)

外国語副作用とワーキングメモリ(作動記憶/作業記憶)は深く関連しています。ワーキングメモリとは、課題を達成するために必要な情報を意識の上で操作できるような状態で保持しておく機能のことです。

人間の記憶システムと作業記憶(ワーキングメモリ)の図解

しかし、慣れない外国語を話すときは言語処理をおろそかにすると会話が成り立たなくなるため、思考よりも言語処理を優先せざるを得ません。これによって人が使用できる処理資源を言語処理に取られてしまう為に、本人や周囲に思考レベルが低下したように感じられることです。

例えば、読解では、ワーキングメモリを使って一時的に文や語彙などを記憶しつつ、長期記憶に貯蔵されている背景知識を検索したり文の構造などを理解したりして読み解いていきます。

ワーキングメモリの要領には制限があると指摘されていて、初級学習者の場合、文章中の語彙や文法の理解にワーキングメモリの要領を費やしてしまうことによって、文章の内容を理解するためのメモリ不足が生じ、内容把握が思うようにできない現象が起きます。

母国語はワーキングメモリが「検索・参照」をしないから記憶の保持ができる

このワーキングメモリの特性により、慣れない外国語で話すときに思考力が落ちる現象を「外国語副作用」といいます。発話についてもスムーズに進まないのは、使いたい表現の保持にワーキングメモリの要領を多く取られるからだと言われています。

外国語副作用を理解して乗り越えるための方法

外国語を瞬時に発話できるようになる為には繰り返し聞いて発話するトレーニングが必要になります。その積み重ねにより言語力を高めていくことが効果的です。

また、外国語との距離感を近づけることも重要です。その言語の持つ文化や価値観、関わる人たちの考え方や共通言語を理解することが外国語副作用の1つの克服方法だと言われています。

無料ebookのご案内

  • TOEIC800点以上なら、確実にスピーキング力が身につく英語学習法
  • ビジネスで差が付く!実践イディオムフレーズ100選
  • 留学&英会話スクールなしでスピーキングを身につける方法

など効率的な英語の学習方法について、無料ebookを用意しております。
ぜひご確認ください。

ビジネス特化スピーキング教材パタプラの購入はこちら

関連シリーズ記事

参考文献