開発者 / 松尾 光治
元大手英会話スクールの教務主任、教材開発。在米35年、現在もニューヨーク在住。早稲田大学第一文学部中退、英検1級、TOEIC985点。英会話の講師とニューヨークでの日系商社での勤務経験から、日本人ビジネスパーソンを対象にした実用的な英語教材を開発。
私が開発したリスニング教材のお客様からスピーキングの相談を受けていた時に、パタプライングリッシュの構想がひらめきました。
そのお客様は学校で学んだ知識を話す力に転化ができない。それを解消できる練習法が分からないと悩んでいました。
ほとんどのビジネスパーソンは、日本での中学、高校、大学での英語教育で文法を理解し、読み書きができます。
しかし「英語を話す」とは技能であり、それにはトレーニングが必要です。スポーツや車の運転と同じです。ルールを覚えても練習しなければできるようになりません。
私は大手英会話スクールで9年間講師をした経験と知識、更に日系大手総合商社の米国子会社で10年間働いたビジネスパーソンとしての経験があります。
その経験から「話せるようになるために絶対に必要な大量の口頭練習を、ビジネスに直結する内容のパターンプラクティスで効果的に行なわせる教材」の構想が思いつきました。
ビジネス英語教材をリサーチ
最初に、思い描いた内容をすでに実現している教材がないか、徹底的にリサーチしました。インターネットだけでなく、日本に帰国した時に大型書店に何店も通い探し回りました。
たくさんの英語教材があるにも関わらず、残念ながら理想の教材は見当たりません。
明らかになったことは「ビジネス英語用教材」は、基本フレーズ集しかないことです。そのまま使える決まり文句的なフレーズは丸暗記でも役立ちます。
しかしフレーズ集を何冊丸暗記しても臨機応変に話せるようにはなりません。目新しいフレーズに感心して、覚えては忘れていく。その繰り返しで終わりです。
これはやはり自分で教材を作るしかない、と腹をくくりました。
構想から実現まで
本格的に教材開発に取り組み出して最初に分かったのは、構想を形にすることががいかに難しいかです。
英会話スクールの経験から、同じチャンク(単語のかたまり)を複数の文型パターンで口頭練習する内容を教材にできれば、必ず効果が出ると分かっていました。
文型パターンはシンプルから複雑に、同時に一般的な語彙から特定分野に、段階的にレベルアップしていく、そういった教材を形にすべく開発を始めました。
しかし、教材開発に取り込み、それを形にするのがいかに難しいかを思い知りました。どおりで世の中に同じ構想の教材が存在しないわけです。
副教材やアドバイスメールを開発
それでも作ってはやり直しを繰り返し何とか形ができてくると、今度は当初の構想以外に組み込みたい内容やアイディアが新しく生まれてきます。
例えば、市販のビジネス英語教材では相手の発言が分からなかった時の決まり文句として「Could you repeat that?」等で済ませています。しかし、実際のビジネスシーンなら分からない部分を特定してピンポイントで聞き直せた方がスマート。
そこで、実用性の極めて高い、困った時の「とっさの一言」を中心に、決まり文句のフレーズ集を追加作成することにしました。
さらに、最低限おさえたい発音、日本で見落とされがちな英語のリズム感覚の理解と訓練などを加えていくと、最終的に140本の音声付き副教材となりました。
それだけでありません。トレーニング中に出るだろう疑問への回答、英語でのコミュニケーション上、大切な文化的側面からのアドバイスもほしい。
その結果、文庫本120ページほどになるアドバイスメールも追加することにしました。
2年かかってようやく完成
このように一つ一つ妥協せず、2年の時間をかけて私の知見とノウハウをぎっしり詰めた教材に作り上げました。
ビジネスで英語を使う方が「知っている」から自信を持って「話せる」ようになる教材に仕上がったと自負しています。