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LESSON 番外編6 英語のリズム - 知って得する機能語の弱形

機能語は文の中で発音される場合、特に強調してストレスを置かない限り「弱形」と呼ばれる発音となります。その単語を単独に発音(強形)する時よりも、ずっと曖昧で弱く短い発音。音自体が消えてしまうこともあります。

「弱形」という漢字から、単に弱くなるものと勘違いしがちなので要注意。そもそも発音していない音をいくら聴き取ろうとしても無理だからです。

機能語と弱形

「機能語」というのは文の重要な内容を伝える上で付属的な単語、脇役的な単語。具体的には次のような品詞の単語である。

助動詞can, will, could, would, ought to, should
Be動詞is, am, are...
人称代名詞
  • he, she, I, we...
  • my, your, his, her...
冠詞a, an, the
接続詞and, but, or...
前置詞at, of, for, to...
関係詞
  • 関係代名詞の who, that
  • 関係副詞の where, when, why, how...
  • [注] 疑問詞の What, Why, When, Where, Who, How は文の重要な内容を伝える「内容語」。

例えば「and」の機能語をネイティブに、この一語だけで発音してもらえば [ænd] と発音する。「a」の音 [æ] を、くっきりと強調する。しかし、文中だと [ænd] と発音することは普通はない。「and」の弱形の [ənd] や [ən] という音になる。

「and」を文中でも [ænd] と発音するのは、「~だけじゃなくて~も」と、ことさら強調するためにストレスを置きたい時だけである。

ネイティブは無意識に弱形を使っているが、非ネイティブの私たちは弱形にどのような音があるのか頭の中で整理しておくと、リスニング能力の向上に役立つ。自分で話す時も弱形をきちんと把握しておくと英語らしくなる。

弱形を全く使わずに機能語を全部くっきりと発音していると、ネイティブにとってはなんだか堅苦しい、時には気取ったような英語に、そしてリズム感に欠ける聞きづらい英語になってしまう。

一方、機能語をただ弱く曖昧に発音しただけでは、いい加減で聞き取りにくい英語になる。

強形と弱形の音の違い

ここでは、弱形のうち、私たちが聞き逃しがちな単語、文中でも強形を使ってしまいがちな単語をいくつか見てみましょう。

強形弱形
as[æz][əz]
at[æt][ət]
to[tu:][tu]/[du]、[tə]/[də]
and[ænd][ənd]、[ən]
or[ɔ:r][ər]
for[fɔ:r][fər]
from[fram][frəm]
of[av][əv]、[ə]
I[ai][əi]
he[hi:][hi] [i]
his[hiz][iz]
them[ðem][ðəm]
can[kæn][kən]
does[dʌz][dəz]
some[sʌm][səm]
where[hweər][weə(r)]
why[hwai][waə]
when[hwen][wen]
who[hu:][u:]
how[haʊ][aʊ]

※たいていの辞書には、強形と並べて弱形の発音記号が少なくとも一つは記載されている。

弱形と省エネ発音の違い

日常会話でカジュアルさが増していくと、弱形がさらに曖昧になっていく。例えば、弱形では母音が曖昧母音 [ə] になるが、カジュアル度が進むとこの曖昧母音が消えてしまう場合もある。

これは楽に発音するために省エネ発音を使うからである。(弱形そのものも重要度の低めな機能語を不要に強調せずに楽して発音する、という意味では省エネ発音の一部とも言える)

上の弱形の表に、省エネ発音を加えると下記のようになる。省エネ発音は、発音記号では表記し難い音もあるので、ここで示した発音表記はあくまで参考である。

強形弱形省エネ発音
as[æz][əz][z]
at[æt][ət][ə]
to[tu:][tu]/[du]、[tə]/[də][tə]/[də]
and[ænd][ənd]、[ən][n]
or[ɔ:r][ər][r]、[ə]
for[fɔ:r][fər][fə]
from[fram][frəm][frm]
of[av][əv]、[ə][v]、[ə]
I[ai][əi][ə]
he[hi:][hi] 、[i][i]
his[hiz][iz][iz]
them[ðem][ðəm][ðm]
can[kæn][kən][kn]
does[dʌz][dəz][dz]
some[sʌm][səm][sm]
where[hweər][weə(r)][wə(r)]
why[hwai][waə][wə]
when[hwen][wen][wən]
who[hu:][u:][uə]
how[haʊ][aʊ][aə]

英語のリズム感覚を体得する

英語の文には強く読まれる部分と、弱く軽く流されがちな部分がある。強い部分は、ほぼ等間隔に登場して英語のうねるようなリズムを形作っている。(等間隔にならない例外もあるが、ここに登場する等間隔の例を用いてリズムを意識するクセをつければ十分である)

本レッスンの練習で、英語のリズムを理解し、しらばくは自分で英語を話す時も意識的にリズムに気を配ることを習慣にして欲しい。慣れてくればリズムをつけて話すことが自然になってくる。発音が多少悪くても、英語のリズムに乗った話し方をすることで相手の理解度も高まる。

練習1

  • 「カウント音声」をスタート
  • カウントの声にあわせて「One, two, three...」と発音。「...seven」まで続ける
  • 何度か繰り返して、ほぼ同時に言えるようにする

ONE  TWO  THREE  FOUR  FIVE  SIX  SEVEN

カウント音声


練習2

  • 「カウント音声」をスタート
  • それぞれの数の間に「and a」を軽く入れる
  • 「One, two, three」の部分は「カウント音声」と同時に強く発音

ONE and a TWO and a THREE and a FOUR and a FIVE and a SIX and a SEVEN

カウント音声



練習2の実演サンプル


練習3

  • 「カウント音声」をスタート
  • それぞれの数の直前に「a」を軽く入れる
  • 「One, two, three」の部分は「カウント音声」と同時に強く発音

a ONE  a TWO  a THREE  a FOUR  a FIVE  a SIX  a SEVEN

カウント音声



練習3の実演サンプル


練習4

  • 「カウント音声」をスタート
  • それぞれの数の直前に「and a」を軽く入れる
  • 素早く言う必要があるので、発音は「an'na」に似た音になる
  • 「One, two, three」の部分は 「カウント音声」と同時に強く発音

カウント音声



練習4の実演サンプル


練習5

  • 「カウント音声」はなしで、下の「One of the things...」で始まる文を読む
  • 大文字の部分で強勢を、強勢と強勢の間は軽く読む
  • 強勢と強勢の間はほぼ等間隔
  • 強勢部分は文の主要な意味を伝える内容語

ONE of the THINGS that I WANTED to DO while in PARIS was to TAKE some COOKING lessons.

ONETWOTHREEFOURFIVESIXSEVEN
ONE of theTHINGS that IWANTED toDO while inPARIS was toTAKE someCOOKING lessons.

練習5の実演サンプル


練習6

  • 「カウント音声」はなしで、下の「One of the things...」で始まる文を読む
  • 大文字の部分で強勢を、強勢と強勢の間は軽く読む。
  • 強勢と強勢の間はほぼ等間隔
  • 練習5の内容語のうち「things」と「do」が、この読みでは弱い部分に入っている

ONE of the things that I WANTED to do while in PARIS was to TAKE some COOKING lessons.

ONETWOTHREEFOURFIVE
ONE of the things thatI WANTED to do while inPARIS was toTAKE some COOKING lessons.

練習6の実演サンプル


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