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CHAPTER 7 賛成・反対のフレーズ

目次

CULTURAL TIPS

英語の会議では「Yes」か「No」の答えをはっきり求められることが多い。

「そう白黒はっきり答えられることばかりではない。あまりに単純化しすぎではないか?」多くの日本人ビジネスパーソンはそう感じる。このジレンマも文化背景に基づく部分が大きい。

日本人は、個別の事柄は大きな全体の中の一部であると考え、仕事上の課題や問題解決などにおいても、先を見越した長期的な考え方に慣れているからだ。

なぜ長期的な考え方をするのか。日本の文化では、何が正しく何が間違っているかは「時」「場合」「状況」によって異なるという前提を持っている。現時点では「Yes」でも長期的視野から見ると「No」かも知れないと考える価値観があるからだ。

長期志向の価値観を持つのは日本だけではない。国単位で見ると中国、韓国、シンガポール、ドイツ、スイス、ロシアなどがそうだと見なされている。

いっぽう、何が正しく何が間違いかには普遍的な指針があると考え、下すべき決定や費やす努力もすぐに結果に結び付くことが望ましいとする短期志向の価値観を持つ文化圏もある。

短期志向型の国は米国、中東、オーストラリア、メキシコ、北欧諸国、フィリピンなどだと考えられている。(これはあくまでそれぞれの文化圏の一般的志向であり、各個人や企業文化によって違いがある。例えば、米国 GAFA の4社は長期志向型だ。)

あなたが参加するグローバルレベルの会議の参加者の誰もが短期志向型であれば、おそらく「Yes/No」の意思表示においてジレンマを感じることだろう。

条件付きの「Yes」などでとりあえずは答えることも可能だ。しかし、条件をつけすぎると、あなたのスタンスが「Yes」か「No」か分かりにくくなる問題も出てくる。

このジレンマを解決する「正解」は現時点ではない。長期志向型と短期志向型の双方が相手の文化特性を認識しつつ共通基盤(common ground)を探っていくしかなさそうだ。

一つだけ明らかなことは、聞き手があなたの感じる「Yes/No」へのジレンマを察してくれることを前提に、「Yes」とも「No」とも取れるような答え方をしても、まず通用しないことだ。
ここでは賛成・反対の意思表示の典型的なフレーズを、賛成・反対の度合い別に紹介する。どうしても「Yes/No」で答えられない時のフレーズも挙げておく。

全フレーズ

再生速度(標準)
再生速度(×0.75)
再生速度(標準)
再生速度(×1.25)
再生速度(×1.5)

全面的に賛成を示すフレーズ

7-1Exactly!その通りです!
7-2Absolutely!まったくです!
7-3I totally agree.全面的に賛成です。
7-4That's exactly what I was thinking.それはまさに私が考えていたことです。

普通に賛成を示すフレーズ

7-5I agree with you.あなたに賛成です。
7-6I'm with you on this.これに関してあなたに同意します(同感です)。この言い方には相手に共感して心に寄り添うニュアンスもある。CHAPTER 2 で相手がこちらの話についてきているかを確認する「Are you with me so far?」のフレーズを紹介したが、この「I'm with you on this.」は、話についていっているのではなく、賛成するの意味。
7-7I can agree to that.それには賛成できます。that と言うことで、相手ではなく相手のアイデアに賛成している点を明確にしている。
7-8I support that.それを支持します。

リアクションで賛成を示す

応援しながら指示するようなニュアンス。温かさを出すために名前をつけるのも良いです。

7-9Good point, Emily!良いポイントだね、エミリー!賛成する場合も、賛成の理由を一言でもいいから自分の見解として述べることが望ましい。

部分的に賛成・反対を示すフレーズ

部分的反対の理由や根拠を示したり、条件や代替案を提示することが大切。

7-10I mostly agree with you, but...大体においてあなたに賛成しますが...
7-11I mostly agree with you, but I think we've got to consider several other factors as well.大体においてあなたに賛成しますが、他の要素をいくつか考慮する必要があると考えます。
7-12I agree with you up to a point, but...あるところまではあなたに賛成しますが...
7-13I agree with you up to a point, but I think the situation is more complex than that.あるところまではあなたに賛成しますが、状況はそれよりもっと複雑だと考えます。
7-14I agree up to a point, but have you considered the incidental expenses?あるところまでは賛成しますが、臨時費用(雑費)について考慮されましたか?I agree with you は with youを省略しても良い。

あるポイントを除いて同意

7-15I agree with you except for one thing.一点を除いて同意します。
7-16I agree with you except for one thing about the delivery method.納入方法(配送方法)に関する一点以外は同意します。
7-17I agree with you except for two points. One is that... The second point is that...2つのポイント以外は同意します。1つは....。2つ目のポイントは...。

条件付き賛成(反対)を示すフレーズ

必ずしもそうとは言えない、いつもそうであるとは限らない、状況によってはそうではないなど、条件付き賛成、あるいは反対意見を言う時に使います。

7-18That's not always the case.いつもそうだとは限りません。
7-19Not necessarily.必ずしもそうとは限りません。「Not necessarily」という頻出表現をぜひ覚えておこう。「必ずしも〜と限らない、〜という訳でない」の意味。「Not necessary(必要でない)」と混乱しないようにしよう。
7-20Not necessarily. It depends on the store.必ずしもそうとは限りません。店舗によりけりです。
7-21That's not necessarily true.必ずしもそれが正しいとは限りません。

反対を示すフレーズ - 配慮を表す基本の前置き

反対する時は、相手の意見を尊重していることを示しながら、自分の意見を述べるように心がけましょう。

7-22I'm afraid I have to disagree.(残念ながら)反対せざるを得ません。
7-23I'm afraid I have a different opinion.(残念ながら)これに関する私の意見は違います。
7-24I'm afraid I don't agree with you on that point.(残念ながら)その点においてあなたに同意しません。
7-25I'm afraid I can't support that because...(残念ながら)それを支持することはできません。なぜなら...言うまでもないが、相手の意見に反対する場合は、その理由を述べることは必須だ。理由を述べないのは反論とは見なされない。単なる不快感の表現と捉えられるかもしれず、発言者にとってマイナスに働く。

理由さえ明快であれば、あなたの英語がたどたどしくても、他の参加者は真剣に耳を傾けてくれるものだ。反対の理由の部分は、ここでは汎用的な具体例をいくつか挙げてあるが、あなたの実際の業務内容を反映させ、様々な状況を想定して練習しておこう。
7-26I'm afraid I can't support that because there're too many unknown factors.(残念ながら)それを支持することはできません。なぜなら未知の要素が多すぎるからです。
7-27I'm afraid I can't go along with that because...(残念ながら)それに賛同することはできません。なぜなら...「go along with ~ = ~に賛同する・賛成する、協力してやっていく」
7-28I'm afraid I can't go along with that because it will only be a short-term fix.(残念ながら)それに賛同することはできません。なぜなら、それは短期的な解決策(解決法)にしかならないからです。「fix [口語] = 解決策」
短期的で応急処置的な解決策を指すこともある。例文では、短期的であることを着実に伝えたいので「short-term」とわざわざ言っている。

同様の使い方に「a quick fix(簡単で手っ取り早い解決策)」などがある。「a short-term fix」を堅めの言葉で言えば「a short-term solution」。

7-27、7-28 では「can't support that」「can't go along with that」と「that」を用いている。「I'm afraid I can't agree with you because...」としても構わないのだが、「that」を使うことで、反対しているのは相手という人物でなく、相手のアイデアであることを強調したニュアンスとなっている。

注意点

反対する時は、相手の意見を尊重していることを示しながら、自分の意見を述べるように心がけよう。英語には日本語のような敬語こそないが、このような配慮を表現する方法は数多くある。

会議で意見が対立して激しい議論になった時も、こうした表現を使って相手に対する個人攻撃にならないように、相手に不快な思いをさせないようにと配慮するのがプロフェッショナルなビジネスパーソンだと言える。

LESSON 26 反対する 賛成と反対の様々な度合い」の例ではどれも「I'm afraid...」の前置きクッションを置くことで配慮を示している。

社内のインフォーマルな会議などでは、それほど気を使わないことももちろんある。だが、いきなり「I disagree.」とだけ述べるのはかなりぶっきらぼうで、非常に失礼な印象を与えかねない。

配慮を表すバリエーション

反対意見を述べる前に配慮を示してワンクッション置く前置きの言葉としては「I'm afraid」だけで事足りますが、他に日本では馴染みが薄いけれど典型的なものを3つ紹介します。

7-29I beg to differ.お言葉ですが、私の考えは違います。丁寧で、やや堅い言い方だが決まり文句として頻繁に使われる。

相手の意見を理解していることを述べ、配慮を示す

以下の2つの表現は、同意しない理由を述べる前置きとしても使われますが、単に相手の意見を尊重する態度を示すためにも使われます。

7-30I take your point.あなたの言い分は分かります。「point」は相手の言い分や論点を指す。
7-31That's a valid point.それは正当な(根拠の確実な)論点ですね。
7-32I take your point. But I don't think it's as simple as that.あなたの言い分は分かります。でも、事はそれほどシンプルだとは思いません。
7-33That's a valid point. But I wouldn't base my decision on that alone.それは正当な論点ですね。でも私だったら、自分の決定をそれだけに基づいては行いませんね。

相手の意見を認めながら反対するフレーズ

シンプルな言い方で相手の意見を認めながら反対するフレーズです。

7-34I can see why you think that, but...あなたがなぜそう考えるかは分かりますが...
7-35I can see why you think that, but I've got to disagree.あなたがなぜそう考えるかは分かりますが反対せざるを得ません。言いたいことは確かに分かるのだが、でも、反対せざるを得ないという気持ちを「I've got to」で表している。「I've got to」は「I have to」と同意。
7-36That may be true, but...それは本当かも知れませんが...
7-37That may be true, but isn't it more cost-effective to use social media?それは本当かも知れませんがソーシャルメディアを使った方が、もっと費用対効果が高いのでは?

白黒言えるものではない時のフレーズ

どうしても「Yes/No」で答えることに抵抗があるケースは、「なぜ答えられないのか」の理由とともに、次のように言うこともできます。

7-38Well, yes and no. It all depends on the circumstances.イエスともノーとも言えます。すべては事情(状況)によります。
7-39There isn't a clean-cut yes or no on this. It all depends on the situation.これに関しては、明確なイエスかノーの答えはありません。すべては状況によります。「clean-cut = はっきりした、明確な」
「situation (7-39)」と「circumstance (7-38)」はどちらも「状況」と訳せるがニュアンスに違いがある。

「situation」は、一般的に何か物事が置かれている「状況や場面」。これに働きかけることで変化させることができる。「circumstance」は周囲の状況や環境、背景、出来事などによって生じた「事情」に近い状況で、これを変化させることは難しい。

答えにくい質問をしてきた場合

7-40Well, it depends on what you mean by "foreseeable future."そうですねえ、あなたが「予見できる将来」と言う言葉で何を意味しているのかによります。

最後まで意見が一致しない時のフレーズ

7-41We just have to agree to disagree.意見の違いということでまとめましょう。「agree to disagree」を直訳すると「反対することに賛成する」となる。意見が衝突したまま、それ以上議論をしても無駄だと参加者たちが考え、互いの相違を容認しながらも自説を譲らずに話し合いを終える時に使うことが多い。

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