LESSON 番外編3 最低限おさえたい発音 - 似ている子音の区別
目次
[l] と [r] の区別
日本人が最も気にする音ではないかと思う。
聞き取りに関してはそう神経質になることはない。「L」が「R」に聞こえるか、「R」が「L」に聞こえるか、の2つの可能性しかないので「おや?」と思ったら、その可能性を考えればいいだけだ。
あなたの発音で相手を混乱させないことの方がずっと大切。まずはしっかり区別して発音できるようにしよう。自分なりにきちんと発音していれば、リスニングにも効果が波及する。
ここでは普通の発音練習に加え『ビジネスで頻出する「L」「R」の混ざった発音しにくい単語』も練習しておく。「L」と「R」を言い間違えてビジネス上で失態に至るなど非常に embarrassing という例は特に思いつかないが、一つだけぜひ注意して頂きたい例外がある。これを『周囲の人が非常に恥ずかしくなる「L」と「R」の言い違い』の項で述べる。
[l] [r] 発音のコツ
[L]の発音
日本語の「ラリルレロ」の要領でよいが、それに加えて舌先を強く上の歯の後ろに押しつけ、少し長めに伸ばして、息を強めに出す。舌の両側に空気が押し出される感覚がある。
[R]の発音
唇を「ウ」の形に突き出してして音を出し始める。「right」だったら「ウright」と発音する感じ。舌先を丸めて、舌を口の奥へ引っ込める。突き出した唇を素早く引き戻すと、これがやりやすい。舌先が口の中のどこにも触れていないか注意。
単語の意味・例文
- Loyal-royal
- long-wrong
- collect-correct
- lap-wrap
- LAN-ran
- glow-grow
- light-right
- flee-free
loyal |
|
royal |
|
collect / correct |
|
lap |
|
wrap |
|
LAN | 正式名称は「Local Area Network」 |
glow |
|
flee | 逃げる、逃れる、逃走する |
ビジネスで頻出する「L」「R」の混ざった発音しにくい単語
何度も発音すれば単語のどこの部分が「R」で、どこが「L」だったか忘れることもない。
単語の意味
reluctantly | しぶしぶ、嫌々ながら、不本意ながら |
release | (ロックなどを)解除する、情報を公開する、発表する 映画を封切る、出版物を発売する |
relevant | (検討中の課題などと)関係のある、関連(性)のある;今日的な意味を帯びている |
irrelevant | 見当違いの、無関係の、不適切な;重要でない、意味のない |
relatively | 比較的に、相対的に |
reload | リロードする =(コンピューター)再読込みする、(トラックなどに)荷物を再積み込みする等々 |
relentlessly | 容赦なく、冷酷に、執拗に、しつこく |
prolong | 長くする、長引かせる、(引き)延ばす |
周囲の人が非常に恥ずかしくなる「L」と「R」の言い違い(音声なし)
※著者が下記のような例を挙げて面白がっていると思わないで頂きたい。「Japanese jokes erection election」のキーワードで検索してみると分かるが、この勘違いは英米の日本人ジョークにもよく登場する。
- elect-erect
- election-erection
elect |
|
erect |
|
[s] と [ʃ] 及び [h] と [f] の区別
聞き分けにそれほど難しくはない子音、つまり自分で発音するのも難しくない子音を取り上げる。心構えの問題なので、ここで区別を明確にして、自分の発音を簡単にレベルアップしよう。
その子音とは、[s] - [ʃ] 及び [h] - [f] である。少しの努力で発音・聞きとりが可能なペアだと言える。
[s] [ʃ] [h] [f] 発音のコツ
[s]の発音
口の歯と歯の隙間から「スー」っと息を吐き出す音。ボールから空気が抜けていくような音だ。
- 舌を上の歯茎から上下の歯の2mmくらい開けたスキマまでの範囲のどこでもいいので軽くくっつける(場所は自分がやりやすい場所でOK)
- 舌をつけたまま息を通す
- このとき、空気が抜ける音がする。相手に聞こえるようにしっかり
この [s] の音を出すことは日本人には簡単だが、うっかりこれを [ʃ] に代えてしまうと非常に embarrassing な単語がある。そう、「sit」を「shit」と言ってしまうこと。
「curse word (罵る言葉)」として「Shit! (クソーっ!)」はアメリカ映画で耳にすることも多いが、純粋に動詞として使うと「ウ●コする」となるので「Please シット down.」とか「May I シット here?」などと言うと洒落にならない。
テレビの連続コメディドラマを「sitcom (= situation comedy)」と言うが、これをカタカナで「シットコム」と書くことが多い。他に適当な表記がないので仕方ないのだが、このカナ表記をもとに「shitcom」と言わないように。
[ʃ]の発音
日本語の「シャシュショ」から母音を抜いたもの。 息を強めに出す。
[h]の発音
日本語の「は行」の音から母音を抜いた音。
[f]の発音
「下唇を噛む」と教わった人もいるかもしれないが、 それは大袈裟。上の歯をごく軽く弱く下唇の上に乗せ、息をフーッと腹から出す。下唇のやや内側でもよい。
では、例を聞いて真似てみよう。
- seat-sheet
- sea-she
- sign-shine
- holder-folder
- hired-fired
[v] と [b] の区別
現実の会話場面での聞き分けは難しいが区別したい2つの音として [v] と [b] がある。
一応カバーするが現実場面では気にし過ぎないこと。「もしかすると b でなく v では?」と気付けばよい。著者の知っている限り、どうしようもなく恥ずかしい取り違えはない。
- [b] は破裂音なので「ブチっ」と破裂した感じがする。息は強い。破裂させるので長く発音できない
- [v] は摩擦音。こすれる。長く出すことが可能だし、一般的に [b] より長く聞こえることが多い
[v] [b] 発音のコツ
[v] の発音
口のポジションは「F」と全く同じ。上の歯をごく軽く弱く下唇の上に乗せ、息をフーッと腹から出す。下唇のやや内側でもよい。「f」と違って「v」では音を出せばよい。声を出しながら息を出すと、上の歯と下唇が振動し、唇がなんだかむずがゆい感じがするはず。
[b] の発音
日本語の「バビブベポ」と同じ口の形でいいが、もっとはるかに強く破裂させるつもりで。
「b-v」のペアでいくつか比べて聞く。最初が「b」、次が「v」だ。
単語の意味・例文
- boat-vote
- best-vest
- berry-very
- bow-vow
- trouble-travel
vest |
|
bow | お辞儀(する) |
vow |
|
では、ランダムに聞いてみよう。
[答えをみる][答えを隠す]
[s] と [θ] の区別
「TH」の発音は間違って覚えてしまっている人が多いので確認しておく。
- 上の歯の下端に舌先を軽くあてる。下の歯からのプレッシャーは全くない。舌先が歯より前に出るのは、ごくわずかでよい
- 上歯の下側をツルッと軽くなでるようにして舌先を口の中に引き戻しつつ、息を強めに出す
その時、舌を歯の間を息がこすれて通りぬける音が「TH」の音。口の形だけ見ると、舌が上下の歯にはさまってはいるが、噛んでいる訳ではない。
英語ネイティブに口の形を見せてくれと言えば、大袈裟に舌を突き出して見せるだろうが、そのような舌のポジションは「th」の音を特に強調する時のみ使われる。
[s] [θ] 聞き分け練習
[s] と [θ] を聞き比べて自分で発音しよう。
- face-faith
- slow-throw
- pass-path
- sink-think
- sing-thing
- some-thumb
- sick-thick
※ごく基本的な単語ばかりなので意味は割愛
ランダムに発音するので聞き取れるか試してみよう。
[答えをみる][答えを隠す]
ここでは、一語一語発音のサンプルとしてきちんと発音しているので「th」がハッキリと聞こえるが、現実には単語の頭にあると音の変化を起しやすい。英語ネイティブであっても「正しい発音」は面倒な音だ。(音の変化については「LESSON 番外編 英語のリズム - 知って得する機能語の弱形」で詳しく解説している)
日本語になっていて問題を起こしやすい単語
日本人が英語を発音する時、本来は子音だけの音節に母音をつけてしまうので、何の言葉か分からなくなることはご存知だろう。例えば「fast」の「st」の部分には本来は母音は全くないので「スト」と発音すると、何のことだか分からない。
ここでは文頭が破裂音で始まる単語で日本語にもなっているものをいくつか選んだ。
- try
- trial
- play
- trick
- track
- true
- dry
- cry
「try」の出だしは、あくまで「T」であり、決して「ト」ではない。「T」を破裂させた直後に「R」を発音するのだが、コツは「T」を強く押しつぶすように「R」にくっつけるイメージだ。
全ての破裂音は、日本語で破裂音を含む「パ行の音」「カ行の音」「た、て、と、だ、で、ど」の p, k, t, d よりも、はるかに強く破裂させること。
文字を見てまず自分で発音し、それからサンプル音声と比べて必要なら修正しよう。