購入ページログイン

CHAPTER 11 チャレンジとなる状況でのフレーズ

目次

CULTURAL TIPS

日本では意見が対立している二人がいると、周りは二人の関係はあまりうまくいっていない印象を持つかも知れない。また、意見の対立は解決すべきものだとも考えられがちだ。

いっぽう多くの文化圏では、自分の明確な意見を持ち、意見の対立があるのが人間関係のデフォルト状態だとされている。意見の対立は必ずしも解決すべきものではなく、人間同士の友好関係は互いが自分の思いや意見を相手にぶつけることで、積極的に作り上げるものだという共通理解がある。

当然ながらそのような文化圏では、言葉で明確に伝えることが非常に重要になってくる。空気を読むことや察することが大切な日本的コミュニケーション方法は、基本的には役立たない。

グローバルな英語の会議も意見の対立がデフォルト状態なのが普通だ。全員一致で皆が納得できるような答えを模索する場ではない。議論を通して、より優れたアイデアを得る可能性を追求する場である。

そのような性質の会議に、日本の会議文化のマインドセットで出席すると大きな違和感を持つのは当然だ。日本の会議であれば、誰もが慌ててしまいかねないやりとりが普通に起きる。日本語の表現で言えば、角が立ったり、和を乱す発言だらけなのである。その状況はあなたにとってはチャレンジに満ちているかも知れない。

全フレーズ

【全フレーズ前編】
再生速度(標準)
再生速度(×0.75)
再生速度(標準)
再生速度(×1.25)
再生速度(×1.5)
対象テキストを見る
【全フレーズ後編】
再生速度(標準)
再生速度(×0.75)
再生速度(標準)
再生速度(×1.25)
再生速度(×1.5)
対象テキストを見る

仕事の進め方の前提条件を確認するフレーズ

コラボレーションなどで苦労する場面を減らすために、前もって互いの常識を確認し合っておくことは大切です。文化の違いやコーポレートカルチャーの違いのせいで仕事の進め方が異なると、会議中でも話が噛み合わなくなるものです。

自分や自社にとっては常識となっている前提をいちいち説明するのは面倒ですが、後で大きな混乱や損失を招かないよう、議論の前や最中に互いの認識を深めておく必要があります。以下のフレーズで切り出した後、自社の仕事の進め方などを説明することになります。

11-1Let's check our presumptions about the way we work. It will help us avoid any misunderstanding or confusion.仕事の進め方に関する我々の思い込みをチェックしましょう。誤解や混乱を避ける助けになりますから。「presumptions = 仮定、(妥当な根拠・証拠に基づく)思い込み」
11-2Let's check our presumptions about the workflow. It will help us avoid any misunderstanding or confusion.ワークフローに関する我々の思い込みをチェックしましょう。誤解や混乱を避ける助けになりますから。

さえぎられるのを牽制するフレーズ

インタラクティブ性が高いグローバル環境の会議では、あなたの発言を皆が最後まで黙って聞いてくれるとは限りません。話している真っ最中であっても、誰かが介入してくることがあります。

介入には、軽いツッコミやジョーク的な茶々を入れてくる場合と、話を被せてきて取って代わろうとする場合があります。前者の場合はむっとしたり、批判されていると感じる必要もありません。それはグローバルなコミュニケーションスタイルの一つに過ぎないからです。

しかし後者の場合、つまりあなたに取って代わろうとしてくる相手は、次のようなフレーズではっきりと牽制する必要があります。

11-3Let me finish.最後まで言わせてください。
11-4Let me just finish the point I'm making.私が指摘している要点(伝えようとしているポイント)を最後まで言わせてください。

強引にかぶせてくる失礼な相手に言う場合

11-5Excuse me, I haven't finished.すみませんが、まだ話し終わってないんです。

反論する時の素早いさえぎり

相手の発言内容への反対、異論、確認点などを持ち出す時のさえぎり。CHAPTER 1 で紹介したようなジェスチャーとともに素早くさえぎれば良いです。

11-6But...
Wait...
Wait a minute...
でも...
待って...
ちょっと待って...
この3つで割って入るのはインフォーマルな印象。フォーマルな会議では「Excuse me.」や「Sorry to interrupt.」などで始めた方が無難だ。

答えにくい質問をされた時のフレーズ

思いもよらない質問をされて即答できない時に使える切り返しフレーズを紹介します。

11-7That's a very good question.それはとても良い質問ですね。/ いいところを突いてきましたね。 / 痛いところを突いてきましたね。文字通りに良い質問だと感想を述べる時もあるが、答えるのが難しい質問、即答しにくい質問に対する時間稼ぎに使うことが多い。また「現時点では答えられない」という事情を説明する際の一種の前触れとして言う場合もある。
11-8That's a difficult question.それは難しい質問ですね。文字通り難しい質問なので、少々時間をかけて答えても当然、という含みを持たせる。

時間をもらうことをはっきり伝える

11-9That's a difficult question. Let me think it over.難しい質問ですねえ。ちょっと考えさせてください。「think something over = 注意深く考える、熟考する」
11-10I'm not sure if I have a simple answer.シンプルな回答ができるかどうかは、ちょっと分かりません。
11-11It's rather complicated.結構複雑でしてね。まずはこう答えておけば、考えつつ答えを述べていく余裕ができやすい。

前置きをして時間を作る

11-12Let me answer your question this way.ご質問に、こういう風に答えさせてください。じっくりと考えながら質問に答える体制にすることで余裕を得る。良い説明アングルを思いついたら、この前置きをしてから話し始めるのも良い。

相手がこちらの発言を曲解している時のフレーズ

「I am not saying...(~と言っているわけではない)」と前置きしておいて、次の2つのパターンでフォローするのが便利です。

11-13I'm not saying... I just think...~と言っているわけではないんです。~だと考えるだけです。
11-14I'm not saying... I'm just saying...~と言っているわけではないんです。~だと言ってるだけです。
11-15I'm not saying we shouldn't do it. I just think we shouldn't waste our time.それをすべきでないと言っている訳ではないんです。時間を無駄にすべきでないと考えるだけです。
11-16I'm not saying it was your fault. I'm just saying it was an avoidable accident.あなたの過失だと言っている訳ではないんです。あれは避けられたアクシデントだったと言ってるだけです。

お互いに誤解があることを伝えるフレーズ

11-17There seems to be some misunderstanding between us.我々の間に、なにか誤解があるように思えます。
11-18My understanding is slightly different.私の理解は少々異なります。

事実認識が相手と異なることを伝えるフレーズ

ある事柄に関し、経験に基づく自分の事実認識が相手と異なることを伝えます。

11-19My experience is quite different from yours.私の経験は、あなたのものとは非常に異なります。
11-20My experience with that company is quite different from Tom's.あの会社に関する私の経験はトムの経験とは非常に異なります。(例えば Tom は彼自身の経験からその会社に対して非常にネガティブな意見しか持っていないが、あなたは、あなた自身とその会社のやりとりを通じてポジティブな意見を持っている場合)

相手が忘れていると思える時にチェックを入れるフレーズ

あなたが既に述べたことを相手が忘れているか無視していると思える時にチェックを入れます。

11-21As I said before, ...前にも言いましたが...
11-22Like I said, ...私が言ったように...Like で始めると、ややカジュアルな口調となる。
11-23As I said before, this is a top priority.前にも言いましたが、これは最優先です。「As I told you before,」と言うと、上から目線のきつめな発言にとられることもあるので要注意。「前にも言った(教えた)でしょ!覚えてないんですか?」というニュアンスを持つ。もちろん、きつめに言いたいのなら使える。
11-24Like I said, this is not an urgent issue.前にも言ったように、これは緊急用件ではありません。

肝心なポイントを忘れた(忘れたふりの)相手に対して使えるフレーズ

動詞の前に「DO」を置いて「分かっているのでしょうね」という問いかけを強調する言い方。「Do」は強く発音します。

11-25Excuse me, but you DO realize that..., right?すいませんが~だということは了解していますよね?
11-26Excuse me, but you DO realize that our competitors are doing the exact same thing, right?すいませんが、我々の競合他社たちも全く同じことをしているということは了解していますよね?
11-27Excuse me, but you DO realize that this doesn't solve the problem in the long run, right?すいませんが、これは問題を長期的には解決しないということは了解していますよね?「in the long run = 長期的に、長い目で見て、結局は」
11-28Excuse me, but we have to take into account...すいませんが、~を考慮にいれる必要があります。「take into account = ~を考慮に入れる必要がある」
11-29Excuse me, but we have to take into account the financial aspects.すいませんが、財務的側面を考慮に入れる必要があります。
11-30Excuse me, but we have to take into account the fact that they're our major customers.すいませんが、彼らが我が社の大手顧客であるという事実を考慮に入れる必要があります。「the fact that = ~という事実」
後ろに完全文がくる。
【全フレーズ後編】を最初から再生する

前言に反したことを言う相手に使えるフレーズ

動詞の前に「DID」を置いて、相手が行った行動を強調する用法。「Said」の代わりに「DID say」としています。

11-31You DID say that..., didn't you?あなたは~と、おっしゃいましたよね。
11-32You DID say that we should pull out of that country, didn't you?あなたは我々があの国から撤退すべきだと、おっしゃいましたよね。「pull out of = ~から撤退する」

決着済みのポイントを蒸し返してくる相手に使えるフレーズ

11-33Sorry to interrupt, but we've already made it clear that...中断してすいませんが、~はすでにはっきりさせましたよね。
11-34Sorry to interrupt, but we've already made it clear that this has nothing to do with the labor union.中断してすいませんが、これは労働組合とは何の関係もないことはすでにはっきりさせましたよね。
11-35Sorry to interrupt, but we've already made it clear that that's not the case.中断してすいませんが、これは、そういうことではないことは、すでにはっきりさせましたよね。

論議中のトピックと無関連な事柄を相手が持ち出してきた時のフレーズ

11-36I'm afraid that's quite a separate issue.(残念ですが)それは全く別個の問題です。
11-37I'm sorry, but I can't see what that's got to do with what we're talking about.すいませんが、それが我々が話していることと何の関係があるのか私には分かりません。
11-38Sorry, but how does that relate to what we're talking about?すいませんが、それが我々が話していることと、どう関連しているんですか?

何かほのめかしている相手に真意を確かめるフレーズ

英語の会議でも、あまりはっきりと口に出せない事柄はあります。遠回しな言い方で何かほのめかしている相手に向かって、何を言いたいのか真意を問いただす必要が出てくるかもしれません。

11-39What are you trying to say?何を言おうとしているんですか?ごくシンプルに、そしてニュートラルに質問する際に使える。ただし「try」を使うと、相手が自己表現に苦労しているのを助けるために質問しているニュアンスもあるにはある。
11-40What are you getting at?何が言いたいわけですか?、何をほのめかしているんですか?「try」を使った表現に比べて、相手の言葉にはネガティブな感情も含めた様々な含みがあるのでは、と感じた場合の定番フレーズ。「get at」には様々な意味があるが、ここでは「ほのめかす、暗示する」の意味。この言い方は、基本的には相手のほのめかしの言葉に対し、それを不快に感じた時に使う。
11-41Are you implying that...?~だとほのめかしているんですか?「~とほのめかしてるんですか?」とダイレクトに聞く場合の言い方。
11-42Are you implying that they lied?彼らが嘘をついたとほのめかしているんですか?
11-43Are you implying that we should have done something earlier?我々はもっと早期に何かをすべきだったとほのめかしているんですか?「imply」がほのめかす事柄はポジティブな場合とネガティブな場合のどちらももあり得る。だが、会議でクリアに伝えずわざわざ「imply」するのはネガティブな事柄であることが多い。

知っておきたいポイント

「Imply」の類語に「insinuate」がある。「Insinuate」は常に「ネガティブな、不愉快な事柄をほのめかす」意味で使う。「Are you insinuating~?」という質問をする人物は、相手に対してあまりよい感情を持っていないことがうかがわれる。

故意に詳細を省こうとする相手にクリアな説明を求めるフレーズ

11-44I'm afraid it's not quite clear...(残念ながら)~が、あまりクリアでないのですが。
11-45I'm afraid it's not quite clear how you intend to handle this issue.(残念ながら)あなたがこの問題をどのように処理する意向なのかがあまりクリアでないのですが。
11-46I'm afraid it's not quite clear what you're expecting from my department.(残念ながら)あなたが、私の部門に期待しているのが何なのかがあまりクリアでないのですが。
11-47I'm not sure if I got that right. You would like us to...?私が(それを)正しく理解したか確かでないのですが、あなたは我々にして欲しいのは...?「if I got that right」と言うことで、理解できなかったかも知れない自分に非があるような丁寧なニュアンスを出している。「You would like us to...」と宙ぶらりんにセンテンスを終えて相手の答えを促している。
11-48I'm not sure if I got that right. What exactly would you like us to do?私が(それを)正しく理解したか確かでないのですが、あなたは我々に何をして欲しいのですか?11-47 をきちんと質問文にするとこうなる。

納得できない点を突く質問のフレーズ

11-49How does that explain...?それで~はどう説明するんです?
11-50How do you explain...?それであなたは~をどう説明するんです?11-49、11-50 どちらも「それでは説明がつかないじゃないですか?」というニュアンス。
11-51How does that explain what happened to our competitor?それじゃ、我々の競合に起きたことの説明はどうやってつくんですか?
11-52How do you explain the different outcomes between short-term and long-term trials?短期トライアルと長期トライアルの結果の違いをどう説明するんですか?

「もしXなのだったら、ではなぜYなのですか?」

11-53If that is so...もしそうなら~
11-54If that's the case...もしそうなら~(もしそういうことなら)11-53、11-54 はどちらも相手の主張を多少疑っているニュアンスとなる。「So」の方が「the case」よりもややカジュアルと考える人もいるが、ほとんど変わらないと考えて構わない。
11-55If that is so, why are the customers still complaining?もしそうなら、なぜ顧客たちは、いまだに苦情を言っているのですか?
11-56If that's the case, why are our sales down 25% this quarter?もしそうなら、なぜ我が社の売り上げはこの四半期に25%落ちているんですか?

納得できない旨を伝えるフレーズ

11-57I'm not impressed.感心しませんね、気に入りませんね。「I'm impressed.」 は、感心したり、高評価したり、良い印象を持った時の誉め言葉。
11-58That doesn't make sense to me.私には理解できません。道理が通っていないので理解できない、というニュアンス
11-59I'm afraid you're contradicting yourself.(残念ですが)あなたは矛盾したことを言っていますよ「contradict oneself = 自己矛盾する」
11-60I'm still not convinced.まだ納得できませんね。
11-61I think you got that wrong.間違ってますよ、勘違いしてますよ。かなり強い否定の言葉。
11-62That's out of the question.問題外ですね。非常に強い否定の言葉。

反対の立場でも相手の主張を認める時のフレーズ

11-63That's a fair point.それはもっともですね。単に賛成するというよりは、あまり前向きにそうしたくはないが、鋭い指摘であることを認めざるを得ない、というニュアンスのことが多い。
11-64I do understand where you're coming from.あなたが言いたいことや気持は分かりますよ。相手がどういう根拠や背景に基づいて主張しているのか理解してはいるというニュアンスで使う。

トレーニング完了をXでシェアしよう!

CHAPTER12へ進む