CHAPTER 6 「I think」一辺倒からの脱却
目次
CULTURAL TIPS
意見を言う時に「I think (that)~」で始める人は多いだろう。「I think」を使うこと自体には何も問題はない。だが、これ一辺倒だと次第に発言の効力がなくなってくるのも事実だ。「I think」は比較的ニュートラルなニュアンスの表現なので、連発しているとふと思いついたことを口に出しているだけの人といった印象を持たれてしまう危険もある。
そうなると当然、あなたの発言の説得力も減る。他の参加者が知りたいのは、どのくらいの強度であなたが「思って」いるかだ。日本語でも「強く思います」「確かです」「確信を持ってるんですが...」などと使い分けるのと同様だ。
「Think」を別の動詞に置き換えて使い分ければ、あなたの思いの強弱や確信の度合いのニュアンスの違いが出せる。細かくみていくと様々なバリエーションがあるのだが、本チャプターでは、とりあえず充分と考えられる数に絞って紹介する。
確信の度合いごとに、最低一つはとっさに使えるようにしたい。
全フレーズ
高い確信度 - Believe を使った表現
「Believe」をさらに強調して使う。「believe」は「信じる」とも訳せるが、「think」より確信度が高い「思う」だと考えてよい。
この「Believe」に、強い思いや確信のニュアンスを出す副詞を加えることで強い確信を表現できる。
高い確信度 - Sure や certain を使った表現
こうした形容詞も強い確信を表すのに使えます。
高い確信度 - No を使った表現
「No」を使って強めの確信を表します。日本語にないですが英語ではよく使われる発想なので、ここで親しんでおきましょう。
「選択肢は他に全くないと思う」と強く意見する例
「No」を使う発想に慣れるために「選択肢は他に全くないと思う」と強く意見する例を以下に挙げます。
普通の確信度
believe, be sure, be certain を、上述の strongly, firmly, absolutely といった強調する副詞を除いて使えば良い。
中程度の確信度(ニュートラルなレベル)
「I think (that)...」を使えば良いです。例文は特に示しません。
ブリティッシュイングリッシュでよく使われる「reckon」は、「think」「suppose」「guess」と意味合い的に近いです。
I reckon so.
I reckon not.あなたが正しいと思います。
そうだと思います。そうなんでしょうね。
違うと思います。たぶん違うんでしょう。
知っておきたいポイント
ブリティッシュイングリッシュでよく使われる「reckon」は、「think」「suppose」「guess」と意味合い的に近い。英国、アイルランド、オーストラリアなどではよく使われ、ややカジュアルな言葉遣いだ。アメリカ英語ではあまり使わない。言葉自体に南部の州の地方の言葉というイメージがつきまとうようだ。アメリカにおいても口語的でカジュアルな表現とみなされる。
低い確信度 - I suppose (that)...
確信度の低い「思う」で推定するに近い。情報は持っているが十分ではないような状況です。(「suppose」には「仮定する」の意味もある。)
低い確信度 - I guess (that)...
「I suppose (that)...」よりもさらに確信度の低い「思う」で、「憶測する」に近いです。情報はほとんど、または全くない。カジュアルな響きなのでビジネス上のライティングなどでは使われません。
知っておきたいポイント
他に「推測する」という意味で使われる動詞の代表的なものに「assume」がある。名詞形は「assumption」。「assume」の定義は辞書を見ると以下のようになっている。〔~と〕仮定[想定・臆測・推測]する、〔~と〕思い込む、〔~と〕見なす、〔~を〕前提とする、〔~を〕当然と思う
(出典:アルクの英辞郎)
会議で「~と思います」のつもりで「I assume...」と言う人もいるが、これは避けた方が良い。定義にあるとおり「assume」は憶測に近い推測であり、「guess」よりもさらに根拠のない思い込みとさえ見なされうるからだ。
自分の推測が事実と異なっていた場合、「~だと思っていました」のつもりで「I assumed that...」と言うと、自分が勝手に憶測して思い込んでいただけ、と認めることになってしまう。
たとえ本当に自分に落ち度があったにせよ、上手な人はこれを「My understanding was~」と言って、自分の得た情報に問題があったため正しく理解していなかったというニュアンスで状況を説明し、自分の落ち度と見なされることを避けようとする。
控え目な態度を示す前置き
こうした前置きのクッション言葉は「CHAPTER 3 時間稼ぎと言い直し」でもいつくか取り上げました。「もしかすると自分の間違いかも知れないが」という意味合いの前置きを2つ紹介します。
確信の度合いにフォーカスせず、控え目なスタンスで意見を述べたい時のフレーズです。
Seem を使うことで断定的でないニュアンスを出す
「私、個人としては〜」の表現
確信の度合いにはあまりフォーカスせず「自分的にはどうか」にフォーカスした言い方。「私自身の個人的都合や先入観、好みなども入っているかと思うが...」といったニュアンスです。