チャンクリーディング - 第二言語習得研究の記憶システムと効果的な英語学習のやり方

チャンクリーディング - 第二言語習得研究の記憶システムと効果的な英語学習のやり方

英語学習において、記憶システムの仕組みを意識して活用したことはありますか?記憶の特性を理解して活かすことは、学習に役立ちます。

なぜなら「学習することは記憶することである」と言っても過言ではないからです。

文法規則や単語の意味を理解し、暗記することは大切ですが、ただ闇雲に取り組んでいても、英語を使いこなす能力はなかなか身につきません。

それぞれの学習方法がどのような種類の記憶に支えられているものなのか、その学習はどのような役割を持つのか、これらを理解して意識的に学習に取り組むことは、英語を「使える技能」として習得するための近道につながります。

パタプライングリッシュでは、人の脳内で言語活動がどのように行われているのかを研究する「第二言語習得研究 (SLA: Second Language Acquisition)」から、効率的な英語学習のやり方について解説します。

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今回は効果的に英語を学習していく上で重要な学習法「チャンクリーディング」と人間の記憶システムについてご紹介します。

チャンクとは

チャンク(chunk)とは、「大きなかたまり」「まとまったもの」を示す英単語で、通常2〜8語程度からなる意味を形成するカタマリを指します。

例えば「I have known him for a long time.」の文は「I have known ~」、そして「for a long time」の2つのチャンクからできています。

チャンクの概念は、20世紀中頃にアメリカの心理学者ジョージ・ミラー(George Armitage Miller)教授によって、「人間が一度に処理できる情報の単位」として紹介されました。

チャンクの単位

1つのチャンクの単位は、学習者の習熟度に従い、音素や音節から単語や句といった意味単位まで様々です。特別な規定はありませんが、主に2~3秒スパンで音声実現される単位を指します。

チャンクは、母国語話者・学習者を問わず理解・思考の基本単位で、センテンスのリズムで区切られるカタマリです。特に学習者にとっては英文読解の処理単位と言えます。

チャンクの効果

英文を句や節に基づく「チャンク単位」に見ることで、単語ごとに見るよりも読解速度と英文内容の記憶力向上に寄与することが研究から分かっています。

英文を戻り読みしたり、日本語へ訳しながら読む必要がなくなり、英語を英語のまま、意味のカタマリで処理できます。

チャンクリーディングとは

チャンクリーディングとは、英文をチャンク単位で読む方法です。主にスピーキング練習に用いられます。

例えば「The weather forecast said it would be fair in the morning and cloudy later on.(天気予報では朝のうち晴れ、のち曇りだった。)」をチャンク単位に区切ると、以下になります。

The weather forecast said
it would be
fair in the morning
and cloudy later on.

ネイティブスピーカーは「音」を基準にして一語に感じられる語句を1つのチャンクとします。

チャンク単位で認識することで、スピード、イントネーション、アクセント、発音、間の取り方など、自然な英語の流れやリズムの習得が可能となります。

チャンクリーディングの目的

チャンクリーディングの目的は、ネイティブスピーカーの話し方に近い、よりなめらかな発話を習得することです。

そのためにはスピーキングはもとより、リーディングやリスニングにおいてもチャンク単位の意識が重要です。

英文はチャンクの中にいくつかの単語が連なって1つの意味を形成しています。それらのチャンクを1つの総体として理解できなければ、英文の意味を捉えることは難しくなります。

つまり、2~3秒ごとに繰り返すポーズ(休止する間)によって形成される呼気段落を、1つのチャンクとして理解する必要があります。

言葉の意味を捉えるとは、分断された個々の単語の意味を順次展開していくことではありません。

チャンクを意識したスピーキングでは、素早くなめらかに英語を発音することに加え、言葉の意味を瞬時に捉えて理解する力がつきます。

これは実際の会話シーンにおいて「とっさに話す」ができるようになるためにも必要な力です。

記憶の仕組みとの関わり

英会話においてチャンクを意識することは、人間の記憶の仕組みからも重要であると考えられます。その理由は2つあります。

1.脳の負担を減らす

認知心理学者ジョージ・ミラー教授の実験によると、人間が瞬間的に記憶できる情報の最大数は7個前後、すなわち7個を中心としてプラスマイナス2個の範囲内になることが指摘されています。

長い英文を聞いていると、新しい情報が次々と入ってきてしまい、そのすべてを聞きながら覚えている(記憶する)ことができなくなってしまいます。

そのため、一度に英文全体を聞こうとするよりも、短い単位で区切った方が脳の負担を減らすことができ、結果的に全体を理解することにつながります。

2.長期記憶への転化

チャンク単位でのスピーキングを繰り返し練習することにより、そのフレーズを長期記憶に転化しやすくなります。

人間は多くのことを長期に渡って記憶することができますが、会話で得る情報は、まず脳内でワーキングメモリ(短期記憶)として処理されます。

外部から入ってきた情報は一時的に短期記憶に保持されますが、その情報を何度も頭の中で繰り返すことにより長期記憶へと転送され、のちに出力(アウトプット)できるようになると考えられています。

短期記憶や長期記憶など人間の記憶システムについて詳しい解説は「第二言語習得研究の記憶システムと効果的な英語学習のやり方」をご確認ください。

最後に

英語学習には、脳の特性や根拠に基づいて編み出されたさまざまな効果的な方法やメソッドがあります。しかし、その目的を知らないままに用いても十分な効果は得られません。

チャンクリーディングを活用することで2つの効果があります。1つ目はネイティブスピーカーのリズムでスラスラと話せるようになること、2つ目は即時的な聞き取りがしやすく意味の理解が深まることです。

慣れていくとチャンクを取り変え可能なパーツとして記憶し、それらを組み合わせて瞬時に英文を組み立てる感覚も身につきます。

実際の会話では「自分が話すこと」「相手の話を理解すること」が同時に且つ瞬時に求められます。和訳せずに英語のまま理解していくことが英語の瞬発力を高め、実際の会話の上達につながります。

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参考文献