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CHAPTER 8 深堀り質問のフレーズ(1)

中身の濃い発言ができず議論が深まらない、不完全燃焼のまま会議にあまり貢献できずに終わってしまう、というのが英語の会議に参加する日本人ビジネスパーソンに共通する悩みです。

この状況を打ち破るために、深堀りする質問のフレーズを紹介します。さらにCHAPTER 10ではチャレンジングな場面に対処するためのフレーズを、CHAPTER 11では議論で役立つその他のフレーズを紹介します。

様々な質問フレーズを、本チャプターで「一般的な質問」とCHAPTER 9 深堀り質問のフレーズ(2)で「問題解決・目標達成関連の質問」の2つに大きく分けて紹介します。

目次

CULTURAL TIPS

日本人の聞き上手な文化特性を生かす。野球とサッカーの例えで示したように英語の会議はサッカーに近いので、自分を常にプッシュしてボールを奪いに行くマインドセットが大切だ。

ボールが来るのを待っていてはあっという間に取り残されてしまう。だからグローバルな英語会議において議論上手を目指すのは大変結構なことだ。

大声の早口で話しまくる英語ネイティブ、文法や発音は気にせずに滔々(とうとう)と見解を述べる非英語ネイティブと少しでも対等に渡り合えるように、論理的思考力や英語のスピーキング力を鍛え、真正面から議論できるようにする。

いっぽう、的を得た質問を少な目の言葉でタイムリーに発するのも一つの有効な戦術だ。
  • 白熱する議論を黙ってじっくりと聞き、状況を把握し、見落とされているポイントにつっこんだ質問をして議論を新たな局面に導く
  • 他の参加者の発言を踏まえて、全員の理解を高めるような質問をする
  • 混沌としてきた状況で議論の本質的なポイントを探り出して「要するに●●を▼▼ということですね」と俯瞰的に確認する
こういった言動を取ることで、あなたの発言の価値や貢献度は一気に高まる。グローバルな英語会議の議論では、相手の言うことをしっかり聞いていない参加者が意外と多いからである。

いかに相手を説得するか、いかに上手に割り込んで自分の意見を主張するか、の方向にばかりフォーカスしてしまい、相手の発言内容も、自分の主張を展開するのに役立てられそうな部分のみフィルターを通して聞いているような参加者もよく見かける。

そのような会議において、話し手の立場や事情を考慮しながら他人の話をじっくり聞ける日本人の文化的特性は貴重である。

言外の意味を察したり、場の空気を考慮して言葉を選んだりという訓練を子供の頃から文化規範の一環として受けてきているおかげで、日本人は一般的には聞き上手なのである。

本CHAPTERでは議論を深めるための質問フレーズを紹介するが、聞き上手な自分の文化特性を活かすアプローチも、ぜひ頭に留めておいて頂きたい。

全フレーズ

【全フレーズ前編】
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【全フレーズ後編】
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質問を切り出す時のフレーズ

相手の発言の特定のポイントに質問があることを述べます。

8-1I have a question about what you said about...あなたが~に関して言ったことについて質問があります。
8-2I have a question about what you said about the data security.あなたがデータセキュリティに関して言ったことについて質問があります。
8-3I have a question about what you said about outsourcing this function.あなたがこの職務の外部委託に関して言ったことについて質問があります。「function」は「機能」の意味だけでなく、ある機能を持つ職務や部門全体を指して使うこともある。

特定のポイントに話を戻したい時のフレーズ

以前に取り上げられた特定のポイントに話を戻したい場合に使います。

8-4Sorry, but could we go back to what you said earlier?すいません、あなたが先ほどおっしゃったことに話を戻してよろしいでしょうか?
8-5Sorry, but could we go back to the previous point?すいません、一つ前の論点に話を戻してよろしいでしょうか?
8-6Sorry, but could we go back to something that was mentioned earlier?すいません、先ほど言及されたある点に話を戻してよろしいでしょうか?

言及されたポイントが何であったか確認したい時のフレーズ

相手が軽く言及したポイントが何であったか質問・確認したい場合に使います。

8-7What was that you said about...?~について、あなたが言ってたことって何でしたっけ?「What was that thing that you said about...?」を短くしたと考えて良い。「What did you say about...?」と意味は同じだが、「What did you say about...?」がストレートな質問なのに対し、「What was that you said about...?」だと「そう言えばあなたは何か言ってましたが、何でしたっけ?」というノリで柔らかく聞こえる。
8-8What was that you said about placing a recruitment ad in the local newspapers?地元新聞に求人広告を載せることに関して、あなたは何て言ってましたっけ?

clarification(明確化・説明)を依頼するフレーズ

詳細や具体例を求める様々なフレーズを紹介します。

8-9Could you elaborate?さらに詳しく説明してもらえますか?「elaborate = 詳しく述べる、詳しく説明する」
やや堅い単語だがフォーマルな会議では活躍する。形容詞としては「入念な、手の込んだ、精巧な」、他動詞としては「念入りに作る、推敲する」の意味。
8-10Would you elaborate on the point you made about XYZ?XYZに関してあなたの述べた論点について、さらに詳しく説明して頂けますか?
8-11Would you elaborate on the point you made about a potential merger?可能性のある合併に関してあなたの述べた論点について、さらに詳しく説明して頂けますか?

Details を使って同じ質問や依頼をするフレーズ

8-12Could you give us more details about XYZ?XYZに関して、さらに詳細を教えて頂けますか?
8-13Could you give us more details about the new marketing campaign?新しいマーケティングキャンペーンに関して、さらに詳細を教えて頂けますか?
8-14Could you give us more details about what you can do with this platform?このプラットフォームで何ができるのかに関して、さらに詳細を教えて頂けますか?「about」の後に関係代名詞を使うこともできる。

Specific を使って具体的な内容を質問するフレーズ

「specific = 具体的な、特定の、個別の」という意味。
明確、具体的、時には個別のユニークな例などを知りたい時に使います。

8-15Could you be more specific?もう少し具体的に話して頂けますか?
8-16Could you give us some specific examples?具体的な例を(複数)挙げて頂けますか?

インフォーマルな口調で clarification(明確化・説明)を求めるフレーズ

8-17Tell us more about XYZ.XYZについてもっと話してください。
8-18Tell us more about the background of your plans.あなたの計画の背景についてもっと話してください。
8-19Tell us more about why this is high priority.これが優先順位が高い理由についてもっと話してください。「about」の後に関係代名詞を使うパターン。

より具体的な説明を求めるフレーズ

8-20What exactly do you mean by XYZ?XYZとおっしゃるのは厳密に言えば(具体的には)何なのですか?ポイントをついた「clarification」を求める場合の言い方。
8-21What exactly do you mean by "holistic"?ホリスティックとおっしゃるのは厳密に言えば何なのですか?「つまり何なのですか?」というニュアンス。
8-22Could you clarify what you mean by XYZ?XYZとはどういう意味なのか明解にして頂けますか?「Clarification」の動詞形「Clarify」という単語も覚えておこう。「明確にする、分かりやすく説明する」と言った意味。
8-23Could you clarify what you mean by "drill down"?「ドリルダウン」とはどういう意味なのか明解にして頂けますか?

自分の解釈や理解も交えて質問する時に使えるフレーズ

「▲▲とあなたが言っているのは、○○ということですか?」と自分の解釈や理解も交えて質問する時に使えるフレーズです。

8-24When you say "ABC," does that [verb=動詞] XYZ?「ABC」とおっしゃっているのは、XYZを~するのですか?
8-25When you say "North America," does that include Mexico?「北米」とおっしゃっているのは、メキシコも含むのですか?
8-26When you say "40 pieces," does that mean you have 40 sets?「40個」とおっしゃっているのは、あなたが40セット持っているということですか?

「When you say "ABC"...」と「What exactly do you mean by XYZ?(8-20)」の組み合わせ

8-27When you say "the program was a success," what exactly do you mean by "success"?「プログラムは成功だった」とおっしゃっていますが、「成功」とは厳密に言うと何なのですか?(成功したと言っているが、何をもって成功と言っているのか分かりやすく説明してくれ、ということ。)「What exactly do you mean...」は「What do you mean exactly...」の語順も可。ニュアンスの違いはないが、あえて言えば「What do you mean exactly」の方が、ややカジュアルな響き。

Exactlyを使って clarification(明確化・説明) を求める質問フレーズ

「exactly」を使ってピンポイントに「clarification」を求めます。口調や表情によっては、相手の曖昧さを突き詰めるような詰問調になるので注意。もちろん詰問したければそれで構いません。

8-28What exactly is the current situation?具体的には現在の状況はどうなっているんですか?
8-29Who exactly is requiring these details?具体的には誰が、これらの詳細を求めているんですか?
8-30Who exactly was supposed to oversee this project?具体的には誰が、このプロジェクトを監督することになっていたのですか?
8-31When exactly does the project start?具体的にはいつプロジェクトが開始するのですか?
8-32Where exactly will you be using this?具体的にはどこでこれをあなたがたは使うのですか?

数字やデータを求めるフレーズ

8-33Can you give me some numbers?何か数字をもらえますか?
8-34Can you give me some data?何かデータをもらえますか?

数字の出所や由来を質問するフレーズ

数字の出所や由来は「come」という動詞を使って質問できます。

8-35Could you tell me where XYZ comes from?XYZは、どこから出てきたのか教えて頂けますか?
8-36Could you tell me where this January figure comes from?この1月の数字は、どこから出てきたのか教えて頂けますか?
8-37Could you tell me where that estimate comes from?その見積はどこから出てきたのか教えて頂けますか?

Calculate を使った質問フレーズ

8-38May I ask how you calculated that figure?その数字は、どうやって計算したのか教えて頂けますか?
【全フレーズ後編】を最初から再生する

データは十分か質問するフレーズ

8-39Do you have enough data?データは十分にありますか?
8-40Do you have enough data to...?~するのに十分なデータはありますか?
8-41Do you have enough data to support your proposal?あなたの企画(企画案)を裏付けするのに十分なデータはありますか?

Sufficient を使ったフレーズ

「Sufficient = (必要されるだけの量に)足りる、十分な」の意味。反対語は「insufficient」。「enough」が口語的なのに対し「sufficient」は少しフォーマル。数や量について述べる時に用いられることが多いです。

8-42Is the data sufficient?データは十分ですか?
8-43Is the data sufficient to...?~するのにデータは十分ですか?
8-44Is the data sufficient to accurately measure outcomes?結果を正確に測定するのにデータは十分ですか?

なぜ本当だと分かっているのか?情報源は?

インフォーマルな会議ならば次のような言い方も可。相手を疑ってかかり「証拠を見せろ!」という態度の強い口調にならないように注意が必要です。

8-45How do you know this is true? What are our sources?これが本当だとどうして分かるんですか?我々のソースは何ですか?「Are you sure this is true?」とか「Is this really true?」などと言ってしまうとあまりにストレート、かつ真実性を疑っている口調になってしまうので避けたい。

evidence を使って客観的な口調で質問するフレーズ

8-46Is there any evidence to...?~する裏付け(根拠)はありますか?「evidence = エビデンス、裏付け、根拠」
日本語になっている「エビデンス」とほぼ同じ意味。
8-47Is there any evidence to back up your claims?あなたの主張の裏付けはありますか?
8-48Is there any evidence to prove that conclusion?その結論を証拠づける根拠はありますか?

verify を使って証明や検証が可能か確認するフレーズ

「verify」という語を使うことで、相手の言葉を疑っているのでなく、客観的な検証や立証の可能性を質問しているニュアンスとなります。

8-49Could you verify that figure?その数字を立証して頂けますか?「verify = (実験や調査などによって)正確さや真実性を検証・立証する」
8-50Could you verify that information?その情報を立証して頂けますか?
8-51Can you verify that with numbers?それを数字で立証して頂けますか?

相手のコメントや結論の根拠を質問するフレーズ

8-52What makes you think so?なぜそうお考えですか?(直訳:何があなたをそう考えさせるのですか?)「What」という無生物を主語にして質問することで、相手という人物にフォーカスせず、そう考える理由にフォーカスする。これで相手を攻撃しているニュアンスが出る危険がなくなる。
「Why do you think so?」と質問してもよいのだが、こちらは相手自身にフォーカスした質問なので、状況によっては、相手個人の資質や能力に対して疑念を抱いているニュアンスにとられる危険がある。
8-53What led you to that conclusion?なぜその結論に至ったのですか?(直訳:何があなたをその結論に導いたのですか?)8-52 と同様、無生物主語の質問
8-54How did you come to this conclusion?どうやってあなたはその結論に至ったのですか?「How」を使って無難な聞き方にする。
8-55What is the basis of your comment if I may ask?あなたのコメントの根拠は何ですか、もし聞いてもよろしければ。「basis =(議論などの)根拠、原理、基準」
「What is the basis of...?(~の根拠は何ですか?)」という聞き方もニュートラルで便利だ。
8-56What is the basis of your opinion if I may ask?あなたの意見の根拠は何ですか、もし聞いてもよろしければ。8-55、8−56 のフレーズは「If may ask?」と最後に付け加えて言葉をやわらげて相手への配慮を示している。「差支えなければお聞きしたいのですが」というニュアンスになる。これは文頭に前置きとして置くこともできる。
8-57What is the basis of your assumption?あなたの推測(憶測)の根拠は何ですか?「What is the basis of...?」とニュートラルな聞き方ではあるものの、「assumption」という言葉を使うことであなたが相手の発言の根拠は薄いと見なしているニュアンスが出ている。
「assumption」は「assume」の名詞形。CHAPTER 8 で「assume」のニュアンスを説明した通り「憶測に近い推測」となる。
8-58So your assumption is what?で、あなたの推測(憶測)は何ですか?8-57の質問をかなりインフォーマルに言った場合のフレーズ。
8-59So your assumption is...?で、あなたの推測とは...?語彙をあげて相手に続きを言わせる手法。

理由を聞くフレーズ - 汎用性のある聞き方

8-60Could you tell me the reason why...?なぜ~か理由を教えて頂けますか?
8-61Could you tell me the reason why you chose this one over that one?なぜ、あちらでなくこちらの方を選んだのか理由を教えて頂けますか?

specific を使って特別な理由があるのか聞くフレーズ

8-62Are there any specific reasons?何か特別な理由はありますか?
8-63Are there any specific reasons why...?~の何か特別な理由はありますか?
8-64Are there any specific reasons why you diversified into new business areas?御社が新しいビジネス分野へと多角化したのは何か特別な理由はありますか?

「Specific reasons が当然ありますよね」という前提で質問する

8-65What are the specific reasons?特別な理由は何ですか?
8-66What are the specific reasons they merged with a rival company?彼らがライバル企業と合併した特別な理由は何ですか?

関係や関連を質問するフレーズ

8-67Is there a link between A and B?AとBの間には関連はありますか?
8-68Is there a link between customer satisfaction and customer loyalty?顧客満足と顧客ロイヤルティの間には関連はありますか?

直接の関連があるか質問する

8-69Is there a direct link between A and B?AとBの間には直接の関連はありますか?
8-70Is there a direct link between price and quality of service?価格とサービスの品質の間には直接の関連はありますか?

どういう関連性があるか質問する

8-71How does A relate to B?AはBとどのように関連していますか?「relate to = ~と関係がある、~に関連する」
この文を言い換えれば「What is the relationship between A and B?」となるが、慣れれば「relate to」を使う方が、すっきりと短くて口にしやすいかも知れない。次で実例をあげる。
8-72How does job satisfaction relate to turnover?従業員満足は離職率とどのように関連していますか?「turnover = 離職率」
ビジネスで使う「turnover」には他にも幾つかの意味がある。代表的なのは「(一定期間の)取引高、総売上高、 (飲食店や小売店などに入ってくる顧客などの)回転率」となる。
8-73How does a business mission statement relate to marketing?ビジネスミッションステートメントはマーケティングとどのように関連していますか?

全体像の中での位置づけを質問するフレーズ

目前のトピックが全体像のどこに位置するか、そもそも全体像はどうなっているのか、といった根本的質問フレーズをいくつか紹介します。

実はあなた自身は把握できていたとしても、知らないふりをして聞いてみるのも一つの戦術かも知れません。基本事項を再確認することで会議の参加者全員の目的意識向上に貢献できるし、あなたにとっても思いがけない発見の可能性もあります。

8-74What's the big picture here?ここでの(本案件に関する)全体像はどういうものですか?
8-75How do all these things work together?どのように、こうしたすべての物事がともに働くのですか?
8-76Where does this fit into the overall picture?これは全体像のどこにフィットするのですか?
8-77Should we be dealing with this problem as part of a broader issue?この問題は、もっと広範な問題の一部分として対処すべきでしょうか?

walk through を使ってプロセスを質問するフレーズ

プロセスを実際に示してもらうのには「walk through」という言葉が便利です。文字通りには「歩いて通り抜ける」の意味。プロセスや段階を順番通りに歩いてたどっていくイメージです。

8-78Could you walk me through XYZ?XYZを一通り説明して頂けますか?
8-79Could you walk me through a typical process?典型的なプロセスを一通り説明して頂けますか?
8-80Could you walk me through the steps you have taken so far?あなたがこれまでにたどったステップを一通り説明して頂けますか?
8-81Could you walk me through how this product would be priced?この製品にどう価格がつけられるのか(価格のつけられる過程)を、一通り説明して頂けますか?

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