パターンプラクティス
第二言語習得研究の記憶システムと効果的な英語学習のやり方

パターンプラクティス 第二言語習得研究の記憶システムと効果的な英語学習のやり方

当記事はビジネス英語スピーキング教材「パタプライングリッシュ」を利用することで、なぜスピーキング力を身につけることができるのか、科学的根拠を示しながら解説します。

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今回は「パターンプラクティス」と呼ばれる英語学習法と人間の記憶システムについてご紹介します。

パターンプラクティスとは

パターンプラクティスとは、アメリカ構造主義言語学の「オーディオリンガルメソッド」に基づく言語教授法の一つです。「文型練習」とも言い換えられます。

オーディオリンガルメソッドについて詳しい解説は「オーディオリンガルメソッド - 第二言語習得研究の記憶システムと効果的な英語学習のやり方」をご確認ください。

元々はアメリカのミシガン大学で開発されたメソッドで、第2次世界大戦中に米軍が言語習得として採用して大きな成果をあげたことから「Army Method」とも呼ばれています。日本では、戦後1950年代後半から、学習の現場に盛んに取り入れられるようになりました。

パターンプラクティスの「パターン」とは「型」を意味しますが、それは文法に代表される「文型」にとどまりません。言語における様々な発話も含みます。

つまり、平叙文、疑問文、命令文のような文の種類に限らず、基本的な音調、発話、文など、より広い範囲での「型」を「パターン」と表しています。

これらの「型」を使用し、口頭で実践する反復練習をパターンプラクティスと呼びます。

スピーキングに効果がある

口頭での反復練習が基本となるため、パターンプラクティスは英語の4技能の中でも特にスピーキングにおいて成果を発揮するメソッドです。

また、例文を反復するだけでなく、文の基本例を元に一部の単語を言い換え、繰り返し練習することによって言語を習得します。

つまり、パターンプラクティスは基本例の単語の「置換作業」、平叙文から疑問文へ、単文から重文へ、能動態から受動態などの「転換作業」、そして形容詞や副詞などを追加していく「拡充作業」を含んだ学習法であると言えます。

置換作業基本例の単語を置換していく
転換作業平叙文⇔疑問文、単文⇔重文、能動態⇔受動態、に転換していく
拡充作業形容詞や副詞などを追加していく

英語学習とパターンプラクティスの例

“It is an apple.” の英文を例にしてパターンプラクティスにおける「置換作業」「転換作業」「拡充作業」を行うと、以下のようになります。

置換作業: 基本例の単語を置き換える

It is an apple.
→ It is an orange.
→ It is a banana.

転換作業: 基本例から文型を転換する

Is it an apple?
→ What is it?
→ It is an apple, isn’t it?

拡充作業: 基本例に形容詞や副詞などを追加する

It is an apple.
↓ big
It is a big apple.
↓ very
It is a very big apple.

ここでのポイントは、一見簡単すぎる基本例で十分であることです。

パターンプラクティスは新しい語彙や文法の獲得が目的ではなく、基本的な「型」を身につけることに焦点を当て、自然なスピーキング力を身につけるための練習法だからです。

また、置換・転換・拡充作業において、単語に限らずチャンク単位で実践することもお勧めします。

チャンク(chunk)とは、「大きなかたまり」「まとまったもの」を示す英単語で、通常2〜8語程度からなる意味を形成するカタマリを指します。例えば “I have known him for a long time.” の文は「I have known ~」、そして「for a long time」の2つのチャンクから出来ています。

パターンプラクティスの目的

パターンプラクティスを行うことで、言語における基本的な「型」を体得できます。型の体得とは、頭で考えるより先に口から言葉が出てくる状態になることです。

型を体得することで、特にスピーキングにおいて役立つ基礎力となります。会話の基礎となる部分は「型」を利用し、頭のリソースは「話したい内容」に回すことが可能となるからです。

パターンプラクティスが日本人に有効な理由

スピーキング力を伸ばすために、パターンプラクティスは特に日本人英語学習者には有効です。

大量の英語を口にできる

スピーキング力を身につけるには大量の口頭練習が必須です。どんなに語彙や文法の知識を頭に詰め込んでも、口から出す練習をしなければ話せるようになりません。

英語学習に確保できる限られた時間で口頭練習を大量に行うのに、パターンプラクティスに勝る方法はありません。

英語の回路と応用力が身につく

系統立てて構文を覚えていくため、より短時間で無駄なく「英語の回路」と「応用力」が身につきます。

最初から「型」で系統的に区分けしたパターンプラクティスで訓練すれば、長期記憶に落とし込むことが容易となります。

長期記憶として保存できるということは、英語回路ができるのも、応用力がつくのも、それだけ早くなるということです。

長期記憶は数年から一生忘れずに覚えている記憶を指します。詳細は「短期記憶と長期記憶 - 第二言語習得研究の記憶システムと効果的な英語学習のやり方」をご確認ください。

イメージ化がしやすい

音読、瞬間英作文、パターンプラクティス、いずれの学習法でも「イメージ化」が非常に大切です。

パターンプラクティスは基本的に英語だけで練習するため、日英の翻訳的な結びつきを介さず、英語のままその場面のイメージ化がしやすくなるメリットがあります。

型を活用して話す

正しい「型」に基づいて英語を覚え込めば、様々な英文を型にはめて応用して発話することが可能になります。

「型」を活用して話すことで、構文単位でのミスが大きく減ります。間違えを恐れて話せなくなる日本人には最適な学習法です。

記憶の仕組みとの関わり

パターンプラクティスの「型を身につける」は、記憶の仕組みで見ると「知識の自動化」に言い換えることができます。更に詳しく掘り下げると記憶システムの「ワーキングメモリ」と「手続き記憶」の働きが関係しています。

ワーキングメモリは脳内でメモ帳の役割を果たす短期記憶の一種です。詳しい解説は「ワーキングメモリ - 第二言語習得研究の記憶システムと効果的な英語学習のやり方」をご確認ください。

手続き記憶は長期記憶の一種で、運動や習慣、技能の記憶です。詳しい解説は「手続き記憶 - 第二言語習得研究の記憶システムと効果的な英語学習のやり方」をご確認ください。

ワーキングメモリの容量の限界

ワーキングメモリは一度に処理できる容量に限界があります。「①英語を聞いて」→「②その内容を日本語に訳して理解して」→「③言いたいことを日本語で考えて」→「④その内容を英語に訳して話す」といったことを瞬時に行うことができません。

英会話でよくある「知っているのにとっさに話せない」「後からゆっくり考えれば対応できた」となる理由は、ここにあります。

手続き記憶がワーキングメモリの消費をセーブ

この状況を打破するためには、いかにワーキングメモリに負荷をかけないかがポイントになります。

負荷をかけないために「手続き記憶」の助けが必要です。手続き記憶とは、例えば自転車に乗るなど「体が覚えている記憶」です。

なぜ手続き記憶がワーキングメモリの負荷軽減の助けになるかは、本記事の趣旨とずれてしまうため「手続き記憶 - 第二言語習得研究の記憶システムと効果的な英語学習のやり方」をご確認ください。

パターンプラクティスで様々な型の反復練習を繰り返すことによって「知っている知識」を手続き記憶に技能に落とし込み「使える知識」に変換する、すなわち「知識の自動化」を行います。

知識の自動化によって、日本語(母国語)と同様に「瞬時に英語を話す」「英語を話しながら内容を考える」などが可能となり、スムーズに会話ができるスピーキング力を身につけることができます。

最後に

パターンプラクティスは日本人にとって非常に相性が良い学習方法です。また、日本人が苦手とするスピーキングを克服するにも有効です。

パターンプラクティスを行うために一番のハードルは「型(パターン)」の準備になります。型がなければ大量の口頭練習を行うこと自体ができません。

そのため型の準備としてパターンプラクティス用に制作された専用教材の使用が必要となりますが、良い教材を見つけられるかどうかで得られる効果も全く変わってきます。

パタプライングリッシュはビジネスシーンに特化した良質の型と音声が全て準備されたデジタル教材です。これを使用すれば、すぐに体系的にスピーキングのトレーニングを開始できます。

60日の返金保証もあるので、この記事でパターンプラクティスの学習法に興味を持った方はぜひ一度お試しください。

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