パタプライングリッシュの効果 - 科学的理論から解説 -

パタプライングリッシュの効果 - 科学的理論から解説 -

当記事はビジネス英語スピーキング教材「パタプライングリッシュ」を利用することで、なぜスピーキング力を身につけることができるのか、科学的根拠を示しながら解説します。

このエントリーをはてなブックマークに追加

はじめに

パタプライングリッシュが、どんな科学的理論を元に作られているか、認知心理学と脳科学に基づいた「第二言語習得理論」から最近の研究成果や理論を用いて説明します。

主な読者は、教材を購入して学習(パタプライングリッシュではトレーニングとも表現します)を行っている方を想定していますが、下記の状況に陥っている英語中上級者の方にとっても、今後の学習に向けて多くのヒントがあるはずです。

ぜひ最後まで読み進めていただけたらと思います。

  • TOEICで高得点は取れるが、スピーキングが苦手
  • 会議で事前に準備した資料を説明することができるが、質疑応答になるとほとんど対応できない
  • とっさに反応して話せない。後で考えるとああ言えば良かったといつも分かる
  • 文法に気を取られてスムーズに話せない。話し出すのに時間がかかるため、議論に入れない

このように「知っているのに話せない」英語中上級者は、記憶システムを理解して正しいトレーニングを行えば、スピーキング力を高めることができます。

スピーキングはスポーツと同じで技能だからです。

パタプライングリッシュ学習者の方へ

中上級レベルの人は、文法や語彙力に関してすでに十分な知識を持っています。レッスン序盤で書き起こしテキストを確認して「簡単過ぎるのではないか?」と感じた方もいるかもしれません。

後述で詳しく解説しますが、パタプライングリッシュは「長期記憶にある知識」を「手続き記憶に転化させる」ことを目的にレッスンを構成してます。そのため敢えて簡単な構文からスタートするように配慮しています。

話せるようになるためには、新しい構文や複雑な表現を丸暗記するのではなく、今ある知識を手続き記憶に落とし込む必要があります。

人間の記憶システムを理解して英語学習に活かす

「知っているのに話せない」から「知っていることは、とっさに口に出てくる」状態になるためには、記憶の仕組みを把握しておくことが役立ちます。

「知っているのに話せない」原因

記憶には、大きく分類すると「短期記憶」と「長期記憶」の2つがあります。

英語学習において「学んだ」と言えるのは、短期記憶に入った情報が長期記憶に定着した時です。

長期記憶は大脳皮質にある「記憶痕跡」と呼ばれる、神経細胞・ニューロン群とそれらのつながりに蓄えられると考えられています。

大脳と神経細胞(ニューロン)の仕組み

長期記憶

人間の記憶システムと長期記憶の図解

長期記憶は「宣言的記憶(陳述記憶・顕在記憶)」と「非宣言的記憶(非陳述記憶・潜在記憶)」の2つに分類されます。

宣言的記憶とは、想起意識がある、つまり思い出している意識のある記憶であり、その内容を自分で言葉で説明できる。「陳述記憶」または「顕在記憶」とも呼ばれる。
非宣言的記憶とは、想起意識のない記憶、つまり自分の意思とは無関係に、意識しなくても思い出されてしまう記憶である。言葉で説明するのが難しいことが多い。「非陳述記憶」または「潜在記憶」とも呼ばれる。
詳しい説明は「宣言的記憶(陳述記憶・顕在記憶)と非宣言的記憶(非陳述記憶・潜在記憶) - 第二言語習得研究の記憶システムと効果的な英語学習のやり方」の記事をご確認ください。

宣言的記憶の中には、「エピソード記憶」と「意味記憶」という2種類の記憶があります。

エピソード記憶とは、自分に起きた出来事の記憶であり、自伝的な記憶とも言える。記憶の焦点は主観的な自分にある。一度しか起きたことがない出来事であっても、それが強い感情を伴っている場合、エピソード記憶に取り込まれて、なかなか忘れることがない。
詳しい説明は「エピソード記憶 - 第二言語習得研究の記憶システムと効果的な英語学習のやり方」の記事をご確認ください。

意味記憶とは、周囲の世界に関する知識や言語、概念のような一般的知識に関する記憶で、知的記憶とも言える。記憶の焦点は自分ではなく客観的現実にある。資格テストのために行う英語学習等は、この意味記憶への情報の取り込み作業が中心となると考えてよい。
詳しい説明は「意味記憶 - 第二言語習得研究の記憶システムと効果的な英語学習のやり方」の記事をご確認ください。

非宣言的記憶には「プライミング」「古典的条件付け」「手続き記憶」等と分類されます。

プライミングとは、事前に覚えた記憶が後の情報に影響を与える記憶。刺激(プライマー)によって、その後の行動が無意識に影響されることを「プライミング効果」と言い、マーケティングでよく使われる手法。幼少期に経験したであろう10回ゲーム(「ピザ」と10回言った後に肘を指して「ここは?」と聞かれると思わず「ひざ」と答えてしまう)はプライミング効果を利用したもの。私たちが日本語で会話している際、一言一句聞いていなかったとしても瞬時に理解できるのはプライミング記憶のおかげ。

古典的条件付けとは、生物的反応とは無関係な、中性的刺激が、恐怖を引き起こす刺激や、食べ物と一緒に経験することによって、似たような反応が引き起こされること。梅干しのことを考えると実際には食べていないのに唾が出てくるのは古典的条件付けが作用している。イヌにメトロノームの音を聴かせた後にエサを与える作業を繰り返した結果、メトロノームの音を聴いただけで唾液が出てくるようになった、というパブロフの実験が有名である。刺激に応答するため、レスポンデント条件付けとも呼ばれる。

このうち英語を流暢に話すのに使われる記憶は「手続き記憶」です。手続き記憶は「スキル・技能」の記憶。楽器演奏、水泳、自転車の乗り方、タイピング、そして言語活動等が代表的な例です。

いわゆる「体が覚えている」状態の記憶です。

手続き記憶は「スキル・技能」の記憶

手続き記憶は、記憶が形成される過程ではエピソード記憶や意味記憶との相互作用があります。しかし、いったん形成されると自動的に機能し、忘却されることがほぼ無い、最も頑強な記憶になります。

手続き記憶について、詳しい説明は「手続き記憶 - 第二言語習得研究の記憶システムと効果的な英語学習のやり方」の記事をご確認ください。

手続き記憶にならないと「とっさに」英語を話せない

英語学習において、知識はあって資格テストも高得点なのに

「とっさに反応して話せない」
「文法に気を取られてスムーズに話せない」
「話しながら考えられない(複雑な会話になるとわからなくなる)」

という人は、学んだ英語が手続き記憶となっていないからです。大半の知識が宣言的記憶の意味記憶にとどまっていると考えられます。

学んだ英語が手続き記憶になっていないと、とっさに反応して話せない

意識的に思い出すからワーキングメモリが足りず、瞬時に話せない

人間の記憶システムとワーキングメモリの図解

テストで高得点を取ったり、英文メールを多少時間をかけて書いたりするには、宣言的記憶に保存された知識だけでも十分です。語彙や構文を意識的に思い出せれば達成できる作業だからです。

「うまく言えなかったことも、あとで落ち着いて考えれば何と言えば良かったか分かる」というレベルの人も、宣言的記憶には既に必要十分な知識が保存されているのです。

では、なぜ宣言的記憶に保存された知識だけでは、英語を話すことができないのでしょうか?それは、脳のワーキングメモリの働きが関係しています。

ワーキングメモリとは、脳の「メモ帳」の役割を果たす短期記憶である。感覚刺激として新たに入ってきた情報を一時的に保持し、並行して、長期記憶に保存された情報を検索・参照してくる。そして両方の情報を加工して必要な処理(操作)を行う。この「保持」と「処理」がワーキングメモリの役目である。
詳しい説明は「ワーキングメモリ - 第二言語習得研究の記憶システムと効果的な英語学習のやり方」の記事をご確認ください。

ワーキングメモリとは、脳の「メモ帳」の役割を果たす短期記憶である

英語を話す時、ワーキングメモリは数多くの作業を並行して進める必要がありますが、何かを意識的に思い出す必要がある場合、ワーキングメモリは宣言的記憶の情報を検索・参照する必要があります。

いっぽう、知識が手続き記憶にまで保存されていれば、必要な情報はワーキングメモリが検索・参照しなくとも、手続き記憶からワーキングメモリに送られてきます。

つまり、知識が宣言的記憶に保存されている状態では、手続き記憶に保存されている場合に比べ、ワーキングメモリが情報処理作業に使える容量が減ってしまうのです。

例えば「日本語を考えてから英訳して話す」という人もいますが、意識しながら日本語の文を考えている段階で、すでにワーキングメモリの容量を相当に使っていることは簡単に想像できるのではないでしょうか。

これでは相手の言葉さえ耳に入らなくなってしまい、テンポよく会話することは到底不可能です。

意図的に何か思い出す必要があると、ワーキングメモリ容量を相当にしてしまう

英語を話すためには、ワーキングメモリに余分な負担をかけずに、手続き記憶から瞬時に送られてくる必要な情報を処理するだけで済むようになるまで、つまりは学んだ英語が「スキル・技能」として身につくまでトレーニングすることが必要不可欠なのです。

パタプライングリッシュは「知識の自動化」で鍛えるトレーニング教材

宣言的記憶(主に意味記憶)に保存された「知っているけれど使えない」知識を、非宣言的記憶の手続き記憶に取り込む(転化させる)ことを「記憶の自動化」と呼びます。

この「記憶の自動化」を、どう効率的に行うかが、英語を話せるようになるかの分かれ道となります。

なぜスピーキング力が身につくのか

パタプライングリッシュでのトレーニングに関連させて、知識を自動化させる「短期記憶 → 長期記憶 → 非宣言的記憶」のプロセスを順番に説明します。

より効果的なトレーニングを行うために留意したいポイントも記載します。新たに学ぶ知識を定着させたり、すでに知っている構文やチャンクを口頭練習する際の参考にしてください。

なぜ中上級者を対象にしているのか

パタプライングリッシュは「知っている知識」を「使える知識」に転化させるためのトレーニングメソッドです。

語彙力が少ない、文法に対する理解が浅い状態では、効果的な学習が困難となるため、そのレベルの英語学習は、まず知っている知識を増やす必要があります。

パタプライングリッシュは、英語力が中上級者を対象にして、教材でも文法の解説はすでに知っているとして省略しています。

「定期的復習」と「反復の方法」の重要性

五感を通じて入ってきた情報、パタプライングリッシュでは音声やテキスト情報は、まず「短期記憶(ワーキングメモリ)」に入り、これを何度も繰り返すことで、脳の海馬を通じて「長期記憶」に転送されます。

「短期記憶 → 長期記憶」のプロセスに該当します。

海馬とは、脳の側頭葉の裏側にある部分。一定期間に繰り返し入ってきた情報のみを重要な情報と認知して長期記憶に渡す機能を持つ。情報が海馬にとどまるのは数日から一カ月程度と言われている。エビングの忘却曲線に沿った復習方法は、海馬の機能に見合ったものだと言える。

「繰り返す」とは、レッスン中での繰り返しの発声練習と、定期的な復習による繰り返しの両方を含みます。この繰り返し(反復)は、認知心理学的には「リハーサル」と呼ばれています。

リハーサルとは、短期記憶の忘却を防いだり、長期記憶に転送するために、記憶するべき項目を何度も繰り返すこと。短期記憶内に記憶を維持し、忘却を防ぐためのリハーサルを「維持リハーサル」と呼ぶ。電話番号をその場限りで覚えるような場合がそうである。短期記憶から長期記憶に記憶を転送し、長期記憶に取り込むためのリハーサルを「精緻化リハーサル」と呼ぶ。精緻化リハーサルでは短期記憶で一時的に保持している情報を、他の知識と結びつけたり構造を理解しながら反復する。
詳しい説明は「リハーサル - 第二言語習得研究の記憶システムと効果的な英語学習のやり方」の記事をご確認ください。

エビングの忘却曲線に沿った復習サイクル

パタプライングリッシュが復習を必須としていること、また復習の間隔・ペースを明確に示しているのは、エビングの忘却曲線に沿って、記憶システムの特性を考慮しているからです。

エビングハウスの忘却曲線とは、ドイツの心理学者・エビングハウスによる、人が学習した内容を忘れるまでの、時間と記憶の関係を表した忘却を表す曲線です。
詳しい説明は「エビングハウスの忘却曲線 - 第二言語習得研究の記憶システムと効果的な英語学習のやり方」の記事をご確認ください。

エビングハウスの忘却曲線
エビングハウスの忘却曲線を活かした復習

初回レッスン時や数回目以内の復習は、教材の例文をそのまま繰り返すこと(リピーティング練習)がメインです。

しかし、口に馴染んですらすら言えるようになってきたら、少しずつ自分自身の言葉に変えていく練習が必須になります。(後述の「つぶやき練習[a],[b]」を参照)

リピーティングよりシャドーイングに慣れ親しんでいる英語学習者も多いが、パタプライングリッシュではリピーティングの方が大切としている。音声に瞬時遅れて発話するシャドーイングだと精緻化リハーサルが難しいからである。シャドーイングは英語の音を理解する第一段階である音声知覚の自動化には役だつと考えられているが、口にしている英文を他の知識と結びつけたり構造を理解しながら反復することは難しい。これがパタプライングリッシュでは、リピーティングをシャドーイングに優先させる理由である。シャドーイングを行うならば、リピーティングですらすら言えるようになった例文に対し、復習時に行うのがよい。

例文をそのまま繰り返すリピーティング練習

反復練習時の注意点

パタプライングリッシュでのトレーニングの土台は「繰り返し」、つまり「反復練習」です。しかし、同じ反復練習でも取り組み方によって大きな違いが出てきます。

知識を自動化させる「短期記憶 → 長期記憶 → 非宣言的記憶」のプロセスを着実に行うための、重要ポイントを科学的裏付けと共に説明します。

イメージを鮮明に思い描きながら話す

機械的に例文を繰り返すのでなく、誰か会話相手に向かって話しているつもりで、臨場感を抱いて、自分事として、発話することが非常に大切です。

テスト対策のような「意味記憶」への保存でなく、「エピソード記憶」に保存されるような反復練習をすることです。これで知識が、より強固な宣言的記憶となります。

ビジネスパーソンであれば、〇□会議での会話など職場での具体的な会話など現実の場面に似通ったイメージを思い描けるほど、トレーニング効果が高くなります。

現実場面をイメージしながら反復練習を行う

今までの英語学習は「意味記憶」で留まるから話せない

英語学習で学ぶことのほとんどは意味記憶として保存されがちです。自我が関与しない、つまり個人の経験や印象を伴わない形で保存されているのです。

こうした断片的な意味記憶は、繰り返し利用されないとシナプス結合が時間の経過とともに弱まり、やがて忘却されます。

いっぽう、同じ情報を自我が関与するエピソード記憶として反復すると、より強固な記憶として保持できるようになります。

学習したことを実際に使い、エピソード記憶にする

エピソード記憶に変えて強固な記憶に

学んだことが、人に説明したり自分で使うことでより深く定着した体験はないでしょうか。それは、学んだことを自分事として繰り返したことで意味的記憶からエピソード記憶に変わるからです。

英語学習も同様です。実際に使って人と話す、日記を書くなどでエピソード記憶が作られやすいですが、1人で行う口頭練習でも、実際に使っている場面を思い描きながら発話練習をすることが非常に重要です。

2重符号化説と転移適切性処理説

パタプライングリッシュが鮮明なイメージを描きながら反復することを推奨する理由に、下記の2つの科学的裏付けがあります。

2重符号化説

人間の認知活動は、情報処理を行う「言語システム」と、視覚刺激の分析・イメージ生成などを行う「イメージシステム(非言語的システム)」の2つのサブシステムによって支えられているとされています。

この言語システムとイメージシステムの両方が活性化することで、記憶の保持率が高まるというのが「2重符号化説」です。

この2つのシステムには相互連絡性があり、イメージシステムが関与している情報は、記憶として保持されやすいと明らかにされています。

記憶の保持率を高める2重符号化説

2重符号化説について詳しい説明は「2重符号化説 - 第二言語習得研究の記憶システムと効果的な英語学習のやり方」の記事をご確認ください。

転移適切性処理説

学習時に行う認知処理と、課題遂行時に行う認知処理が、類似していればいるほど再認の結果は向上するというのが「転移適切性処理説」です。

より現実のシーンに類似したイメージを持って練習すれば、それに類似した場面に遭遇した際に、着実に覚えたことが蘇ってきます。

再認の結果は向上する転移適切性処理説

転移適切性処理説について詳しい説明は「転移適切性処理説 - 第二言語習得研究の記憶システムと効果的な英語学習のやり方」の記事をご確認ください。

これがパタプライングリッシュで鮮明なイメージを描きながらレッスン音声を声に出すことを推奨する理由です。

記憶システムから見て、鮮明なイメージを描いて行うかどうかで効果が全く変わってくるのです。

宣言的記憶から非宣言的記憶へ

宣言的記憶と非宣言的記憶の図解

パタプライングリッシュで「宣言的記憶(陳述記憶・顕在記憶)」から「(非宣言的記憶にある)手続き記憶」へ知識を取り込み、自動化する段階での重要ポイントを説明します。

学んだ構文/チャンクにはフォーカス "しない" 練習

手続き記憶は、自動化したい事項 "以外" にフォーカスして繰り返し学習を行うことで、次第に定着していきます。

(注)この仮説は実験による実証が困難であるため英語教育者の経験則の段階であるが、パタプライングリッシュ開発者も自身のティーチング経験から真実であると考えている。

この事象を「水泳のクロールが出来るようになる」を例で示してみます。

クロールが出来るようになるためには、足の蹴り方や息継ぎのタイミングなど個々の動きを意識的に練習している段階ではスキルとして自動化されません。

個々の動きを意識しなくとも正しく出来るようになったら、次はプールを泳ぎきることにフォーカスして練習を繰り返します。次第に泳げるようになっていきます。

クロールができるようになる例

これを英語学習のアウトプット訓練に当てはめると、フォーカスすべきなのは「文の意味」「伝えたい内容」となります。

パタプライングリッシュでのレッスンで言えば、構文やチャンクに対するフォーカスは次第に弱めていき、言いたい内容にフォーカスしながら様々な英文を作ることになります。

一つの構文が「すらすらと言えるようになった = 顕在知識に十分に入った」のであれば、次は同じ構文の繰り返しを止めてみます。

例えば確認のために1度だけ繰り返し、残りはレッスン音声を一時停止して、そのパターンで言える他のチャンクを次々と考え出して、応用文を作ります。

宣言的記憶から手続き記憶へ知識を取り込み自動化する

このような復習を、適切な間隔を置きながら何度も繰り返せば、必ず「記憶が自動化」されます。

これが、とっさに反応できるスピーキング力が身につくパタプライングリッシュのメソッドです。

つぶやき応用練習は「記憶の自動化」トレーニング

単なる丸暗記型の学習や、自身で応用できる要素の少ない学習法のみ行ってきた学習者のために、パタプライングリッシュでは「記憶の自動化」にいたる訓練の重要なステップとして「つぶやき応用練習」を用意しています。

つぶやき応用練習[a]

つぶやき応用練習[a]は、学習した構文パターンとチャンクを使い「レッスン以外の組合せ・文型の入れ替え」でセンテンスを作り・発話することで、知識を応用する準備運動です。

この応用練習の狙いには「処理水準説」でも登場する精緻化を深めることにあります。

処理水準説とは「長期記憶」と「短期記憶」の分類とは別に、最初に記憶が作られる時の処理の深さによって、その強さや持続性が決まるという考え方。言語学習の場合、処理の深さを浅い順から見ると「文字(形態的処理)→ 音声(音韻的処理)→ 意味や概念(意味的処理)」。深い処理がされるに従い記憶痕跡が強くなる。更に精緻化が深くなるほど、処理も深くなる。精緻化とは、学習対象項目に関する既知情報を意味的・連想的に付加することで処理を深めていくことだ。

つぶやき応用練習[b]

つぶやき応用練習[b]では、学習者自身の業務などに関連したスピーキングの練習を行います。

自身に関連の深いチャンクや語彙を使って、できるだけ多く独自の文を、鮮明なイメージとともに臨場感を持って口に出すことが大切です。

実際の業務や人間関係から、自分事として口にできる場面を数多く想像してみてください。また、教材中の他のパターンも使ってつぶやき応用練習[b]を行ってみてください。

この練習で自分の業務特有の英文パターンを含めたチャンクの知識が「手続き記憶」として自動化されていきます。

自動化された知識が増えれば増えるほど、バリエーション、パターンやチャンクの新しい組合せ、パターン同士の組合せ、等々が指数関数的に増えていきます。

ここまできたら、「英語というのはこういうものだ」という勘も育ってきます。自分に必要な語彙やチャンクに対するアンテナも感度が増し、より自然な英語を使えるようになっていきます。

つぶやき応用練習で手続き記憶に転化する

最後に

パタプライングリッシュが、人間の記憶システムを配慮したレッスン構造になっていることをご理解いただけたと思います。

  1. なぜ、フレーズを丸暗記しても話せないのか
  2. なぜ、とっさに反応できないのか
  3. なぜ、日本語のように話しながら、文章をつないでいくことができないのか
  4. なぜ、音声でのレッスン内容になっているのか
  5. なぜ、簡単な構文でトレーニングを行う必要があるのか
  6. なぜ、一つのレッスンに8回以上の復習が必要なのか
  7. なぜ、復習ペース・時期までも指定しているのか

これらのことにも、改めてご理解頂けたのではないかでしょうか。

地道なトレーニングになるため、特に成果を感じられない期間は不安に感じる方もいるかと思います。

正しい方法でトレーニングを行えば、必ずスピーキング力は身につきます。しかし、スポーツと同じで、1日2日で上手くなることは絶対にありません。日々の地道な練習こそが、結果的に最短距離となります。

まだパタプライングリッシュのレッスンを試していない方へ

もし、あなたが中上級レベルの英語力をすでにお持ちで、スピーキングに対して悩みを持っていましたら、ぜひパタプライングリッシュでトレーニングを試してみてください。

パタプライングリッシュは60日間の全額返金保証を用意しております。

ビジネス特化スピーキング教材パタプラの購入はこちら

人間の記憶システムに関連する記事

監修

パタプライングリッシュ開発者・松尾光治
パタプライングリッシュ開発者・松尾光治

元大手英会話スクールの教務主任、教材開発。在米32年。英検1級、TOEIC985点。 2003年にTranstream LLC 設立。27,000人以上が愛用する「モゴモゴバスター」や 「パタプライングリッシュ for Business」など英語教材を開発。